真空管から「おでん缶」へ
![「おでん缶」を買おうとチチブデンキ店頭の自販機前に並ぶ人の列。(撮影:関口哲司)](https://image.news.livedoor.com/newsimage/9/8/9b29284db8e81a615a-m.jpg)
アキバ名物に「おでん缶」というものがある。古くから秋葉原のチチブデンキ(本社・東京都千代田区、小菅英臣社長)前の自販機で買えるアキバの冬の名物だ。ふだんは、秋葉原を訪れた「記念」や「おみやげ」に購入されることが多かった「おでん缶」に、アキバブームとともに今、大きな異変がおきている。
「おでん缶」は、業務用・給食用缶詰やレトルト食品の製造、輸入、販売を手掛ける天狗缶詰(本社・名古屋市中区、伊藤圭一社長)から発売されており、大根入りとつみれ入りが200円(税込み)、牛すじ入りが250円(税込み)の3種類。
天狗缶詰は、1923年の創業以来ウズラの卵の缶詰を製造・販売しているが、85年ごろから「冬場の自販機の売り上げ増に結びつく商品を」という自販機ベンダーの要望にこたえて、「おでん缶」の製造を始めた。一方、50年代に秋葉原で真空管などのラジオ部品の販売からスタートしたチチブデンキも、冬期の自販機の売り上げアップを検討しており、ベンダーの口利きで12年前から「おでん缶」を取り扱うようになった。
それが、つくばエキスプレスの開通、ヨドバシカメラの進出などに代表される今年のアキバブームに乗って、11月から売り上げがうなぎ上り。「当時は白物家電全盛期で、秋葉原は家電量販店ばかりでコンビニもなく、冬場に小腹が空いたときにピッタリの商品だった」と販売開始当時を振り返るチチブデンキの小菅社長も、この爆発的な売れ行きに驚いている一人。最近1カ月の売り上げが自販機、店内販売と合わせると約1000万円。昨年までの1年間の売り上げを1カ月でクリアした計算になる。
電車男ファッションに身を包み、ヨドバシを見て、チチブデンキで「おでん缶」を買って、メイド喫茶に行く―というのが最新のアキバのトレンドだ。【了】
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