「山陽線」物流も観光も前倒しで正常化へ
JR西日本の来島達夫社長は「中国、瀬戸内方面への観光客が減少している」と話す。特に倉敷の美観地区や安芸の宮島などでは、風評被害で落ち込みが著しいという。国・県の宿泊費支援事業「ふっこう周遊割」に加えて、JR西もキャンペーンや割引切符の発売などで誘客を狙う。
JR貨物は30日朝に岡山―広島間を通過する列車から順次、運転を再開。これに伴い、船舶やトラックによる代行輸送、山陰線を経由する迂回(うかい)列車の運転を終了する。完全復旧にはまだ時間がかかるため、一部列車には運休や時刻・作業の変更が生じる。それでも、コンテナ26両編成による輸送力を発揮して物流は正常化に近づく。
山陽線はJR貨物が運行する貨物列車の約3割が通る“基幹線”だ。トラック運転手不足や環境への対応から鉄道貨物の利用が広がる中での長期不通。代替輸送のために各地からトラックと運転手が関西に集められ、日本中の物流に少なからず影響を与えた。
JR貨物の真貝康一社長は、広い範囲に複数箇所で鉄路が寸断される事態に「在来線の強靱(きょうじん)化」を、あらためて訴える。一方でJR西日本とJR貨物が連携して短期間で迂回運転を実現。1日1往復を約1カ月間、貨車は最大7両と輸送力はわずかだったが、何よりも実績を残した。
JR西の来島社長は「乗務員の訓練や走行出来る量の見極めができていると、いざというとき(早期)に代替が効く」と振り返る。JR貨物も、平時から旅客会社と連携して、貨物鉄道の事業継続計画(BCP)を備える必要がありそうだ。
(文=小林広幸)
