社会人にとって、コミュニケーションに欠かせないお酒。親睦会、商談、打ち上げなど、夜の付き合いは必ずと言っていいほどお酒が絡みます。

しかし実はボク、お酒が一滴も飲めず、ビールを3口くらい飲むと頭痛に襲われる体質なんです。「お酒が飲めたら、飲み会が楽しいんだろうな〜」っていつも思うんですよ。

でも世の中には、酒が飲めなくても飲み会で生き生きしている先輩がいました。

今回のテーマは、「飲めない男による飲み会の極意」。酒が苦手な人だけでなく、「飲み会がつらい」と思っている人も必見の内容です!

〈聞き手:福田啄也(新R25編集部)〉

今回話を聞いたのはこの人!


【三浦崇宏(みうら・たかひろ)】The Breakthrough Company GO代表取締役兼PR/CreativeDirector。早稲田大学第一文学部を卒業後、博報堂入社。マーケティング、PR、クリエイティブ部門を経て独立、2017年に株式会社GOを設立。お酒を飲むと、鼓動が速くなって、頭が痛くなるそうです

広告代理店時代はカンヌ広告祭をはじめとした数多くの受賞歴もあり、現在ではNTT docomoの新規事業「dカーシェア」や日本テレビの新しいコンテンツビジネス「世界一受けたい授業 THE LIVE〜恐竜に会える夏〜」など、話題を呼ぶプロジェクトを多数手がけている三浦さん。

正直、出世するにはお酒が欠かせなそうなイメージのある業界ですが、一体どのように修羅場を乗り越えてこられたのでしょうか?

「酒が飲めない」を隠すな。コンプレックスを武器にできなければ生きていけない

福田:
三浦さんは新卒で博報堂に入社されたんですよね。

広告代理店ってめっちゃお酒を飲むイメージなんですが、どうしてたんですか?

三浦さん:
ボクは入社した段階で「酒が飲めません」って言ってたから、特に苦労したことないです。

福田:
入社してすぐに「酒が飲めない」ってカミングアウトできるってすごいですね…

ボクだったら周囲の人に気を遣って「ちょっとなら飲めます」って答えちゃいます。

三浦さん:
なんでですか?

福田:
えっ、だって酒好きの先輩がいたら、「こいつは酒飲めないからつまんねえな」って思われそうじゃないですか。

三浦さん:
バカじゃないの

酒が飲めないくらいでつまらないって思われるなら、そもそも魅力がない人間なんだよ。


初っ端からすごいパンチをくりだしてきました

三浦さん:
酒が飲めないなら、別の面白さを見せればいいだけでしょう

ボクは飲めないですけど、そこら辺の酔っぱらいよりも面白い話ができますから。

福田:
すごい自信ですね…。酒が飲めないことで、コンプレックスを感じることはないんですか?

三浦さん:
ないです。

それならコンプレックスを逆手にとって面白く語っちゃえばいいんですよ。たとえば、「運動音痴」っていうコンプレックスを「ボク足遅いんで〜」って面白く話せれば、すごい武器じゃないですか。

だからお酒飲めないことも武器にして、「お酒飲めるってうらやましいです!」とか、「お酒飲むの憧れます〜」って開き直って話せたらよくないですか?

福田:
確かに…。その方がかわいげがある気がします。

三浦さん:
ボクからすると、「お酒が飲めません」って言い出せなくて無理に飲んでるやつって、頭を使うことから逃げてる気がしますね

そんなことするくらいなら、本とか読んで面白い人間になる努力をしたほうがいいでしょ。

福田:
まさか最初から説教されるとは思わなかった…

取引先との飲み会を楽しもうとするのは甘え。仕事だと割り切れ

福田:
今日のインタビューのテーマが「飲み会がつらい人はどうすればいいか」っていう話なんですけど…

三浦さん:
ボクは飲み会をつらいと思ったことはないですね。365日中500回以上行きますもん

福田:
多っ!

三浦さん:
逆に、福田君は飲み会の何がつらいの? 言ってごらんよ?

福田:
ノリについていけないのがつらいです。みんなが盛り上がってるなかで、1人だけ輪に入れていない気がします。

三浦さん:
帰ればいいじゃん



三浦さん:
あのねー、「痩せたらモテるって思ってるデブは、痩せてもモテない」というのと同じ理論で、「お酒が飲めたら楽しいんだろうな」って思う会は、きっと酒が飲めても楽しくないですよ

福田:
でも、社会人なら苦手な取引先の人との飲み会とかあるじゃないですか。そういうときはどうすればいいんですか? 嫌だなって思いません?

三浦さん:
苦手な人とは仕事しない。でも、会社員として仕方ない時はもう耐えるしかないじゃん

率先して気を利かせて、その人の話に「それ面白いっすね〜」ってあいづちを打って、客を幸せにするのが仕事でしょ? そこで自分が楽しもうとするほうがおかしい。

福田:
考えが激甘でした。

取引先との飲み会は「どれだけ無理をしてくれるのか」という誠意を見せるべし

三浦さん:
取引先との飲み会は、「酒を飲む理由」をちゃんと理解できていればいいんです。

広告代理店の営業マンがめちゃくちゃ酒を飲む理由って何だと思います?

福田:
えっ、なんでしょう…。お酒飲ませて、相手の判断力を鈍らせてから契約を取るため…?

三浦さん:
そんなわけあるか。


浅知恵ですいません…

三浦さん:
広告代理店は、テレビ番組のCM枠をどの会社が取るのか競い合ってるんですよ。じゃあ、どこで優劣が生まれるのか?

それは、「自分たちのために、どれだけ無理をしてくれるのか」っていうことなんです。だから飲み会で体を張る。「営業マンが靴で酒を飲む」とかヤバイ都市伝説が生まれる。あれは「無理を競ってる」んです。

福田:
度胸試し”をさせられてるってことか…!

三浦さん:
お酒は「どれだけ無理をしてくれるのか」というのを測るのに、一番手っ取り早いツールでしかない。

別に酒に頼らなくても、それを表現できればいいんですよ

福田:
具体的にどんな手法があるんですか?

三浦さん:
その人の誕生日に誰よりも早くお花を送ってあげるとか、「今日この場に女の子3人呼んでよ」って言われたら、即座にそれを叶えてあげるとかですね。

飲めない人間が無理して飲もうとするのは、身長低いやつが女にモテようと思って身長を伸ばそうとするのと一緒。物理的に無理だから。意味がないんです。

モテるためだったら、ほかにもお金を稼ぐとか、ファッションに気をつかうとか、その子が好きな料理つくるとか、いろんなアプローチがあるでしょう。

「飲めない人の切り札的盛り上げ術」を聞いてみた

福田:
飲み会の本質をご教示いただいたところで、飲めない人なりの盛り上げ方ってありますか?

そういうテクニックも教えてほしいんですけど…


ごめんなさい! 読者へのお土産がほしいんです!

三浦さん:
それならイッキ飲みですね。

福田:
ええ!? そんなことしたら飲めないボクらはアウトでしょう!

三浦さん:
本当に盛り上げなきゃいけない時の最終手段です。これが活きる条件は、「周囲にいる人間に酒が飲めないことが認知されている」こと。

そんな中で、イッキ飲みを求められて、発動するとどうなると思います? 「あいつが漢気を見せてくれた!」って拍手が送られるんですよ。飲んだ自分はつらいですけどね。

だからこそ普段から飲めないってアピールをしておくことが重要なんです。「少しなら飲めます」みたいな中途半端が一番よくない

福田:
普段酒を飲まない人が見せるイッキ飲みは、確かに効果的でしょうけど…。それは正直マネできないっす。


※注意:あくまで三浦さんの主張です。飲酒の強要、飲めない人に配慮しないことは「アルハラ」です。また、イッキ飲みは急性アルコール中毒につながり、最悪の場合死亡することもあります。他人への強制はもちろん、自分でも絶対にやってはいけません。

店選びは率先してやる。飲めない人こそ2次会をコントロールせよ

三浦さん:
あとボクね、フルーツジュースがおいしいバーを何軒か知ってるんですよ。だから2軒目行こうってなった時に率先してお店を抑えるようにしています。

みんながウイスキーとか飲んでるときに、ボクは「スイカのノンアルコールカクテル」とか「イチゴミルク」とかを飲むんですよ。

福田:
いいですねそれ!

お酒が飲めないボクからすると、2次会って行きたくねえ…って思っちゃうんですが、その会なら行ってみたい。

三浦さん:
2次会の本質っていうのはね、「俺たちは2次会も行きたくなるくらい仲がいいんだよな」っていうメタメッセージなんですよ。だから行くだけでいいの。

福田:
納得しました。でも、ダラダラ飲むのに付き合うってしんどくないですか…?


現代っ子発言の連続で、あきれはじめた三浦さん

三浦さん:
ダラけてきた2次会の終わらせ方はカンタンです。

福田:
それをぜひ教えてください…!

三浦さん:
まず「いいことを思いつきました!」って大きな声を出して、周りの注目を集めます。

周りが「なんだなんだ?」って静まり返ったところで…

福田:
(ゴクリ)

三浦さん:
帰りましょう!!」って大声で言うんです。



福田:
えっ!?

いきなり飲めない僕がそんなこと言って、シラけないですかね…

三浦さん:
みんな理性を失っている場は、発展なんかしないんだからいいんだよ。それ以上は惰性でしかないの。誰かが率先して、「帰ろう」って口にしないといけないんです。

特にそれは、シラフの君が勇気を出して言うべきなんだよ

福田:
確かに、そのくらいならボクでもできる気がしてきました。勇気を出して言ってみます!

おわりに

三浦さんに一喝されたことで、これまで「酒が飲めないことで周りからつまんないって思われそう…」って考えていた自分が恥ずかしくなりました。自分がつまらない人間だって思われるのが怖くて、酒を言い訳にしていたんですね…。

もちろん、無理に行くことはありませんが、僕と同じように「酒が飲めない自分は、どうせ社会でうまくやっていけない…」「飲み会なんて意味がねえ」と腐っている人は、ぜひ参考にしてみてください!

〈取材・文・撮影=福田啄也(@fkd1111)〉

≪公式≫世界一受けたい授業 THE LIVE 恐竜に会える夏!
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ART of SHINKANSEN - BEING JAPAN
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GO inc. The Breakthrough Company
http://goinc.co.jp/

三浦崇宏 GO(@TAKAHIRO3IURA)さん | Twitter
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