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●ポケトークとGoogle 翻訳でゆる〜く中国語

ある晴れた日の午後。マイナビニュース編集担当のムラカナさんから呼び出され、編集部へ出向きました。

ムラカナ:岡安さん、うちの事業部に岡安という上司がいるんですけど、岡安って名字は東京であまり見かけないからヒマつぶしに会ってみたいって言っていましたよ。

ライター・岡安:岡安姓は埼玉北部に多いらしいですねって、いやいや、そっちはヒマかもしれないですけど、こっちはヒマじゃないかもしれないじゃないですか!? まさかそんなことで呼び出したんですか?

ムラカナ:正直それはどうでもいいんですけど。ゴールデンウィーク中、家電量販店で平積みされてるのを見かけたんですが、いま翻訳機が話題じゃないですか? ハードもアプリもいろいろ出ていて、総じて精度が高いらしいんですよ。どのくらいすごいか、ちょっとアメリカかヨーロッパ、もしくはムー大陸やアトランティス大陸あたりで試してみてもらえませんか?

岡安:えっと、最初の「岡安ネタ」必要でした? ゴールデンウィークはもう終わりましたし、だいたい海外自体ここ10年で1度くらいしか行ってないですし、ムーやアトランティスって伝説ですよね? 一体僕に何を求めてるんですか?

ムラカナ:やだな、怒んないでくださいよ。いま注目の翻訳機といえば、POCKETALK(ポケト−ク)やili(イリー)だと思うんですが、ちょうどポケトークが手元にあって。中国出身の金さんというエンジニアが社内にいるので、実際、知らない言語でも会話ができるかどうかやってみたいんですよね。で、せっかくなので翻訳アプリも一緒に試したいなと。

岡安:あ〜そういう……。アプリだと、マイクロソフトの「Microsoft 翻訳」やNICTの多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra」なんかもけっこうイケてるんですけど、やっぱり定番は「Google 翻訳」でしょうね。

ムラカナ:じゃあポケトークとGoogle 翻訳の2つを試してみましょうか。それではさっそく、社内の金さんをお連れしましたので、会話をどうぞ(無茶ブリ)。

岡安:エッ!! いきなり初対面の人と会話しろって言われましても……。とりあえず、段階を踏んで、あいさつからはじめてもいいですか?

ムラカナ:あ〜、合コンでもそういうの大事ですもんね。ちなみに金さんは中国語(北京語)はもちろん、日本語もバッチリなので、翻訳が正しいかチェックしてくれますよ! むしろ日本語もチェックされちゃうかもしれませんね(笑)。

岡安:単純に通じるかだけでなく、ニュアンスも合っているかがわかるわけですね。今どき珍しいレベルで海外に出かけない人間としては、逆に燃えてきましたよ!!

【ポケトーク】

ポケトークは、インターネットにつながるSIMを内蔵した、手のひらサイズの双方向翻訳機です。英語をはじめ、中国語やフランス語、ドイツ語など63の言語に対応(2018年2月時点)。翻訳はクラウド上で行われ、内蔵SIMによるモバイル通信やWi-Fi環境下で使用可能。世界79の国と地域で使える専用グローバルSIMを使用する場合は、2年間で10,000円(税別)の料金が必要です。本体のみの直販価格は税別24,800円。グローバルSIM(2年)セットの価格は税別29,800円です。

【Google 翻訳】

テキストや音声による入力で、103言語間の翻訳が行えるGoogleの無料アプリです。カメラで翻訳したいテキストを撮影すると、翻訳された内容が撮影内容に重ねて表示されるリアルタイム翻訳は、インターネットでも話題になりました。アプリ版のほか、Webブラウザ版も提供されています。今回は、音声入力で2言語をリアルタイム翻訳する「会話モード」を試しました。価格は無料。

●まずはあいさつや旅行会話から!

【レベル1:あいさつ】

岡安:では手始めに「初めまして。金さんはどちらの生まれですか?」。

金:おお、しっかりと通じます。ちょっと表現がかたい気がしますが、言っていることはわかります。Google 翻訳の方は「金さんが生まれました」という意味になって、ちょっと意味が変わってしまっていますね。でも会話の中で使えば通じるでしょう。

岡安:なるほど。ではでは「金さんはおいくつですか。いつから日本に来たんですか」。

金:どちらも前半の「おいくつですか?」が訳されていなかったですが、ポケトークはほぼ合ってますね。アプリの方は「日本からこの場所に来た」と言う意味になってしまっています。

岡安:2文以上も認識できるはずですが、やはり区切りが難しいみたいですね。場合によっては1文ずつ話した方がよさそうです。「おいくつ」を「何歳」とすればよかったのかな?

【レベル2:旅行やビジネス会話】

ムラカナ:では、次の段階として、旅行とかビジネスとかで使える文例的なものを試してみましょう。

岡安:では「お寿司が食べたいのですが、どこへ行けばいいですか」。

金:これはどっちもばっちり訳せていますね。通じます。細かい点を言えば、アプリの方は「ですが」の逆接が強く出てます。でも、そこはニュアンスでわかります。

岡安:「ですが」の表現は訳しにくいんですね。では、受付や電話口で相手を呼び出すような感じで「マイナビニュースの村田さんをお願いします」。

金:ポケトークはだいたい意味がわかります。ただ、村田さんが「村田先生」になっており、男性の敬称になっていますね。ここは村田さんだけで男性か女性かの判断ができないので、とりあえず男性にしたって感じでしょうか。アプリの方は「マイナビの村田さんについて(教えてください)」って感じの意味ですね。どちらも、話の流れの中で使えば通じるでしょう。「お願いします」と言う日本語の表現が翻訳しにくいのかも知れないです。

岡安:受付で誰かを呼び出したり、電話をかけたりする場合、日本人は「お願いします」って言いますけど、厳密に伝えるには「お呼びください」とか、電話だったら「代わってください」って言わないと翻訳しにくいってことですね。では、ホテルのベッド変更をお願いするイメージで「シングルからダブルにしてください」。

金:これは両方ともよくわからない感じになってしまいました。ポケトークの方は、シングルをシングルレコード(曲)だと言っています。Google 翻訳の方はホテルのベッド(部屋)のことだとわかりましたが、ダブルではなく、ツインの訳になっています。中国だとダブルベッドってあまりなじみがないから、これはこれで通じるかもしれません。一般的には、2人で泊まるときもダブルベッドではなく、シングルベッドが2つ置かれるんですよ。

ムラカナ・岡安:へえ〜。

●ついにアニメトーク! ヲタク用語はどう変わる?

【レベル3:ネットスラング・アニメ用語】

ムラカナ:いろいろ試しましたが、ビジネスや旅行時には問題なく使えそうですね。では、いよいよ「ど本命」のネットスラングやヲタク用語に行ってみましょう! これはムズカシそうですね。

岡安:それ、単にムラカナさんの趣味ですよね? 別にいいんですけど。ではまず「先日放送した回は神回でしたな」。

金:Google 翻訳もポケトークも、神回が引っかかって、「神様の時間」という意味の内容になっていますね。私も厳密にはわかっていないのですが、神回というのは何かの神様じゃなくて、素晴らしい回って意味で合っていますか?

岡安:ザックリ言うとそうですね、神がかった素晴らしさというか……。さすがに日本固有のスラングは難しいですよね。次は「もはやわかりみしかない」。

金:ポケトークは「わからないわけがない」って感じですが、意味はバッチリです。Google 翻訳は「混乱するしかない」と真逆の意味ですね。

ムラカナ:日本人でもちゃんと意味が通じるか微妙な言葉でしたけど、意外とわかるんですね。では、最後に名セリフでも行ってみますか!

岡安:では、定番の「おまえはもう、死んでいる」。

金:この言葉は中国でも有名です。「北斗の拳」は中国でもアニメが放映されて、僕もむかし見てました。両方とも、ちゃんとアニメで言った通りのセリフになっていますね。

岡安:通じるんですね。まあ、ちゃんとアニメネタって通じないと、この言葉を中国で使う勇気はないですけどね……。最後に「親父にも殴られたことなかったのに」(※正確には「親父にもぶたれたことないのに」)。

金:すごい、これもちゃんと意味が通じるよう訳されています。ただ、アプリの方は「僕も殴られてなくて、父も殴られていない」という意味になってしまっています。

ムラカナ:親父は自分自身を殴らないと思うので、これはこれであっているかも。

岡安:ほかにもいろいろ話してみましたが、まとめると、どちらも日本語の聞き取り精度は非常に高いですね。静かな場所なら普通に話せば、ほぼ正しい日本語を認識します。その上で、翻訳については速さはGoogle 翻訳、精度はポケトークといった印象でした。両方とも聞き取った音声を一度クラウドに上げるので、しゃべった瞬間に訳すというほどではないですが、2〜3秒ほどで訳せるので、会話としても十分使えるレベルです。今回は短文ばかりでしたが、長く会話していれば、多少意味がずれていても文脈から判断できそうですね。次は実際に海外で使ってみたいです!