ニューヨーク国際オートショーで世界初公開された新型「フォレスター」(筆者撮影)

世界中で盛り上がっているSUVブームはまだまだ続くだろう。それを実感したのが、現地時間3月28日に米国ニューヨークで開幕したニューヨーク国際オートショー2018だった(一般公開は30日から)。世界初公開の車種の多くがSUVだったからだ。その中でもトヨタ自動車の「RAV4」とともに注目を集めていたのが、世界初公開された第5世代となるSUBARUのSUV「フォレスター」だった。

意外に思う人がいるかもしれないが、フォレスターはスバル車でもっとも売れている車種である。米国でも例外ではなく、昨年は17.5万台を販売して、「レガシィ・アウトバック」とともにベストセラー車種になった。


白い車体の展示車両は新グレードの「スポーツ」(筆者撮影)

それだけにブースの作りも凝っており、過去4世代のフォレスターを並べ、5代目フォレスターお披露目の瞬間は一段高い場所に置かれた赤い車体がアンベールされたあと、下から白い車両が自走で現れるという凝った演出だった。

デザインは「ダイナミック×ソリッド」を反映

第一印象は正常進化、つまり旧型とあまり変わらないという印象だった。実車を披露する前のプレゼンテーションで、クラシックプロポーションという言葉を使ったとおりだった。


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しかしよく見ると、最新の「インプレッサ」や「XV」に使われた新世代SUBARUのデザインフィロソフィー「ダイナミック×ソリッド」を反映していることが分かる。具体的には前後のフェンダーが強調され、サイドウィンドウも動きを感じるグラフィックになり、リヤコンビランプはワイドになった。

商品企画本部でプロジェクトゼネラルマネージャーを務めた布目智之氏によると、特に米国ではフォレスターの平均年齢層は高く、ユーザーの若返りを図るためもあり、デザインにはかなり力を入れたそうだ。


新型フォレスターの内装(筆者撮影)

今回、公開された車両のうち白いボディは、「スポーツ」という新しいグレードである。スポーツといっても山道を攻めるような性格ではなく、アウトドアスポーツを楽しむパートナーとして設定された車種で、オレンジのアクセントが目立つ。こちらもまたアクティブなユーザーに乗ってほしいというメッセージだった。

ちなみに5代目フォレスターのボディサイズは全長4625×全幅1815×全高1730mm(ルーフレールを含める)で、4代目と比べると15mm長く、20mm幅広い。一方ホイールベースは30mm長い2670mmとなっており、前後のオーバーハングを縮めた効率的なパッケージングになっていることが分かる。この延長分は後席の広さに充てたとのことだ。


ボディサイズを大きくしたことで室内の広さを増した(筆者撮影)

新型フォレスターの開発で重視された項目として、SUBARUではセーフティ(安全)、ルーミネス(広さ)、キャパビリティ(能力)を挙げている。最初の項目であるセーフティでは、アイサイトに加えてスバル初の新技術、ドライバーフォーカスを導入したことが目を引く。

インパネ中央上のディスプレイのひさし部分にカメラを埋め込み、ドライバーの脇見や居眠りをチェックし、必要に応じて注意を促すことで、安全運転をサポートするものだ。アイサイトと合わせて事故防止のポテンシャルはさらに高まったと言える。

エンジンは新開発の2.5直噴自然吸気

エンジンはもちろんスバル伝統の水平対向4気筒だが、意外だったのはターボではなく新開発の2.5L 直噴自然吸気としていたことだ。理由について布目氏は、SUVの良さは冒険心を掻き立てる能力にあり、オフロードでの扱いやすさも考えて自然吸気を選んだと説明していた。

駆動方式はもちろん全車AWD。ここでは走破性を高めるテクノロジーであるX-MODEに、路面状況を具体的に示した2つのモードを用意したことが目立つ。すでに一部のSUVで実用化されている装備に近く、SUBARUも同じ流れに乗ったということだろう。


リアスタイルも一新(筆者撮影)

新型フォレスターは米国では2018年秋に発売する予定で、日本でもそう遠くない時期に発表を行うという。今回のショーでは最初に紹介したRAV4をはじめ、このクラスのSUVの新型が目立った。

ただし多くのライバルと一線を画すのは、最低地上高が220mmと、現行型と同じであることだ。このクラスのSUVとしてはかなり悪路走破性を念頭に置いた作りであると感じた。

これもまたインプレッサから導入された、スバルグローバルプラットフォームを採用したことも新型の特徴だ。これにより乗り心地とハンドリングのバランスを高い次元でまとめることができたという。第5世代に切り替わるフォレスターが他車とどんな勝負をするか。真価が問われる。


初代フォレスターも展示されていた(筆者撮影)