「否決の時の決断は何だったのか」と語る慶応義塾大学大学院の曽根泰教教授(撮影:宗宮隆浩)

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郵政民営化法が14日に成立した。参院での否決で一度は廃案になったが、解散総選挙での自民党圧勝により、一転して大差での可決となった。慶応義塾大学大学院の曽根泰教教授は、主張を翻して賛成に回った議員に対して「否決の時の決断は何だったのか。政治生命をかけていたなら今回も反対するべきだった」と述べた。

 郵政民営化法案は、先の通常国会では自民党から反対票を投じる議員が続出し、衆院で5票差で可決されたが、参院では17票差で否決された。しかし、総選挙での自民党圧勝を受け、“造反議員”の大半が賛成に回った。

 曽根教授は「本来は衆院で可決した法案を参院で否決するのはよほどの覚悟が必要。小泉内閣の成り立ちそのものを否定する行為」と指摘。造反議員について、衆院の場合は、議会と選挙において二重に党に反旗を翻したため、参院より処分が重くなると予測。だが、「そもそも事の発端は参院での否決。参院が一番罪が重い。その人たちの責任が問われないのはおかしい」との見解を示した。

 小泉首相が、総選挙で反対派議員に対立候補を立てた点については、「政党の原則から当然。今までの自民党が、党に反対しても“なあなあ”でやってきたことが問題」と述べた。また「小泉チルドレン」と呼ばれる新人議員が誕生した自民党について、「新人研修など思い切った試みをやっている。自民党が変わりつつあるのか、表面的なものなのか、(国民が)見極めることが重要」と述べた。

 今回、前原誠司新代表の「対案路線」に沿って対案を提出した民主党には「前回、対案を出すべきだったが、出さないよりはマシ。大きな争点では対案があった方がいい」とした。

 参院の存在意義に関しては「参院の役割があらためて問われた。ある意味、世論に火をつけた。参院が立ち直るには、自らを切るくらいの改革の覚悟が必要」と語った。【了】

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10月14日動画ニュース