by Gerson Martins

2018年2月にアメリカのフロリダ州パークランドにある高校で起きた銃乱射事件を受け、2月21日にドナルド・トランプ大統領は事件の当事者である生徒や被害者の保護者たちをホワイトハウスに招き、面会を行いました。この中で、トランプ大統領は銃購入時の身元調査を強化する方針であることなどを明かしたのですが、同時に銃乱射事件のような暴力的な事件が起きる背景には暴力的なゲームが若者に影響を与えている可能性を指摘しています。

Trump Says Video Game Violence Is 'Shaping Young People's Thoughts'

https://kotaku.com/trump-says-video-game-violence-is-shaping-young-peoples-1823238396

ホワイトハウスで行われた面会の中でトランプ大統領は、「若い子どもの幼い心に悪影響を与えるようなものがインターネット上にはたくさん存在するので、我々はインターネットを注意深く監視する必要があります。また、若者の心がどのように形成されていき、若者が何を見てどのように感じているのかについてアクションを起こす必要があるのかもしれません。そしてビデオゲームについても言わなければいけません。私は多くの人々から暴力的なビデオゲームが若者の思考を形成しているという話を聞いています。さらにもう一歩進めば映画があります。映画の中には暴力的なものも多くあります。子どもはセックスが含まれていなければ、人を殺す描写が含まれる映画を見ることができてしまうため、我々は新しい評価システムを設ける必要があるのかもしれません」と語り、ゲームや映画の暴力的な表現が若者に悪影響を与えていると批判しています。



トランプ大統領が暴力的なゲームを批判するのはこれが初めてではなく、2012年に起きたサンディフック小学校銃乱射事件の際にも「ビデオゲームにおける暴力と賛美は止めなければいけない。これがモンスターを作り出しているんだ!」と、自身のTwitterアカウントでツイートして物議を醸していました。



しかし、暴力的なゲームが若者に悪影響を与えると考えている政治家はトランプ大統領だけではなく、ケンタッキー州の政治家もラジオ番組の中で「暴力的なゲームが人間の感情を鈍らせる」と発言しています。なお、海外ゲームメディアのKotakuはこういった政治家たちの言動について、「憲法修正第2条および銃規制に関する責任をそらすために、政治家たちが数十年にわたって行ってきた方便と同じだ」と批判しています。

また、ホワイトハウスで行われた面会の中では「銃購入時の身元調査強化」や「アサルトライフルの購入可能年齢を現行の18歳から21歳に引き上げる」といった販売規制に関する話と一緒に、「教師が銃で武装すれば銃乱射事件はすぐに終わる」という話も飛び出しています。なお、トランプ大統領は2016年の大統領選挙の際に教師の武装について、「悪徳ヒラリーは私が学校の教室内に銃を持ち込むことを支持していると言った。そんなわけあるか!」とツイートしていました。



アメリカで度々起きる銃乱射事件ですが、なぜ銃規制の強化に及び腰なのかというと、多くの政治家たちが全米ライフル協会から多額の寄付金を受け取っているからです。今回の銃乱射事件を受け、多くの若者が銃規制の強化訴え、同時に全米ライフル協会から寄付金を受け取る政治家に対して「恥を知れ!」と痛烈な批判を浴びせています。

銃乱射事件がきっかけとなり再びゲームと暴力の関係についての議論が再燃しているわけですが、2018年1月に公開されたばかりの最新の研究では、「ゲームをプレイすること」と「暴力的であること」の間には何の関係もないことが示されています。

「ゲームをプレイすること」と「暴力的であること」に関連はないという研究結果が発表される - GIGAZINE