60のピースから構成され、つなぎ合わせると当時最大級の大きさとなる世界地図が新たに公開されました。鳥瞰図で作成され、ケンタウロスや人魚、怪物などが描かれた地図はスタンフォード大学のDavid Rumsey Map Centerがデジタル処理によって3Dの地球儀にされているのですが、驚くほどの緻密さになっています。

Newly Unveiled 16th-Century Map Shows a World Filled with Centaurs and Unicorns

https://www.livescience.com/61297-renaissance-map-goes-on-display.html

David Rumsey Historical Map Collection | Largest Early World Map - Monte's 10 ft. Planisphere of 1587

https://www.davidrumsey.com/blog/2017/11/26/largest-early-world-map-monte-s-10-ft-planisphere-of-1587

David Rumsey Map Centerが1587年に描かれた地図を手に入れたのは2017年9月のこと。この地図はルネサンス時代のミラノで暮らしていた貴族・Urbano Monteによって作成されました。35歳で結婚して4人の息子と1人の娘に恵まれたMonteは裕福な家庭の出身のため働く必要がなく、生活の多くの時間を自分の図書館に所蔵する本を集めたり、学術的な興味を追求することに割いていたとのこと。

41歳のとき、Monteは地図作成に興味を持ちます。1585年にはミラノにヨーロッパ初の日本大使館が開設され、現地を訪れたMonteは日本の地理に興味を注いだそうです。そして、地理学的な知識の統合方法として地図作成プロジェクトに取り掛かりました。

Monteの作成した地図は当時作成されていた地図に比べて極めて正確で、かつ風変わりな仕上がりとなっています。

作成された地図は手描き原稿60枚から構成されており、つなぎ合わせるとサイズは10フィート(約3メートル)四方で、16世紀に作られた地図としては世界最大です。正距方位図法で描かれているため南極大陸に歪みが生じているとのこと。



1つ1つのピースはこんな感じ。



以下のピースはアメリカ東部、フロリダやキューバを描いたもの。



装飾も細かく、科学・歴史・芸術が一体になっており、地図の全体的なレベルは非常に高いと評価されています。



「GIAPONE ISOLA」と書かれているのは日本。現在の地図で描かれている日本とは大きく異なります。



地図の中にはユニコーンや……



船に襲いかかる怪物



人魚などと共にフェリペ2世といった為政者の姿も描かれています。



日食の様子を描いたものも存在しました。



なお、以下のリンクからはMonteの描いた世界地図をデジタルでつなぎ合わせて地球儀にしたものをムービーで見ることが可能です。

Composite: Tavola 1-60. (Map of the World) (In Google Earth) - David Rumsey Historical Map Collection