熟練作業も自動化できる、川崎重工業のロボットシステム「サクセサー」の導入イメージ

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 人手不足などを背景に世界で工場の自動化や省人化に伴う産業用ロボットの需要が拡大している。一方、製造業全体に占めるロボットの導入台数はまだ数%とされ、工場では自動化が難しい領域が多く存在する。ロボットメーカー各社は人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)など新たな技術を取り込み、熟練作業の自動化や生産性の向上などによりロボットを活用する場を広げている。世界で労働人口の減少が見込まれるなか、ロボット業界への期待はさらに高まることになりそうだ。
ロボット導入余地は大きい

 「ロボットの導入が最も進む製造業でも、だいたい作業者100人当たり1台のロボットが使われている状況で、利用率はあまり高くない」。2020年に開かれるロボットの国際競技会・展示会『ワールド・ロボット・サミット』(WRS)の諮問会議委員で、ロボットに詳しいカリフォルニア大学サンディエゴ校のヘンリック・クリステンセン教授は現状をこう指摘する。

 国際ロボット連盟(IFR)によると、自動化が進んでいると言われる日本でも利用実態は1万人当たり300台程度に留まるという。高齢化社会への対応が世界の課題となるなか、多品種少量品の生産や人が感覚を使って作業する組み立て工程など、これまでロボットの導入が難しかった領域の自動化が求められている。

 「ロボットの適用範囲を広げて労働人口の減少に応えたい」(川崎重工業の橋本康彦常務執行役員)。同社はAIやIoTを活用し、これまでロボットの導入が難しかった熟練作業も自動化できるロボットシステム「サクセサー」を開発した。

 産業用ロボットを遠隔で操作できる専用装置で、熟練者が感覚を使って作業する組み立てなどを実演する。遠隔操作装置はその動きを作業データとして蓄積する一方、そのデータをAIで学習する。何度も繰り返す中でAIが学習して作業精度を高め、最終的に人が遠隔操作せずに自動で作業できるようにする。

感触や音からも学習
 サクセサーの遠隔操作装置は、触覚や聴覚など動作時の感覚をフィードバックする機能がある。この機能により熟練者の技でも感覚的に作業を覚えさせることができる。

 例えば、自動車のシートをロボットで搬送して車体に取り付ける工程にサクセサーを導入する場合、熟練者が遠隔操作装置で実際の作業を実施。その作業からシートが所定の位置にはまる感触や音を含めて作業データとしてこの装置に蓄積する。