乾貴士が小林祐希と同時に投入されたことも、流れを好転させる原因だった。小林祐希と長友がサイドで連携した後半27分のシーン以外では、乾と長友の2人が中心となって、サイド攻撃を仕掛けながら、ゲームをコントロールした。

 サイド攻撃とゲームコントロールとは密接な関係にあるのだ。縦に速い攻撃では、そこのところが生かされない。縦に速い攻撃をあくまで貫くつもりなら、それでいてゲームをコントロールしたいのなら、サイド攻撃のスピード感と安定感を追究すればいい。

 一方、反対側に位置する右サイドでは、最後までそれができなかった。酒井宏樹と長友の平均的なポジショニングにそれは端的に表れている。左(長友)は高く、右(酒井宏樹)は低い。さらに、その前で構える久保裕也、浅野拓磨は、乾とはタイプが違う。縦に速く進むタイプだ。まさに縦に速いサッカーにうってつけの選手だが、実際問題として、この右サイドはほぼ機能しなかった。酒井宏樹と久保(浅野)が、協力関係を築きながら攻撃を仕掛けるというシーンは稀だった。

 改善策は見えているのだ。香川でなく小林祐希的な選手を1人加える。乾と長友のような関係を、右サイドでも築く。そして、縦に速いサッカーをほどほどにする。この3点で日本代表のサッカーは、ずいぶん改善されるはず。少なくとも僕はそう思うのだ。