ヴァヒド・ハリルホジッチ監督(撮影:岸本勉/PICSPORT)

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一部報道にて、8月31日の2018年ワールドカップアジア最終予選・オーストラリア戦で日本代表が引き分け以下だった場合、ハリルホジッチ監督を解任する可能性があるとする記事が出回っています。



しばしば苦境に陥ったチームが監督の交代という策をとることがあります。必ずしもいい結果ばかりが出るわけではありませんが、カンフル剤としていい結果につながることもあります。ですので、必ずしも解任が間違いとは言い切れません。それでいい結果が出るかもしれない。

しかし、今回のケースに限っては「31日の試合に引き分け以下で解任」は間違いと言えるでしょう。

31日の試合で引き分け以下となった場合、オーストラリアが最終戦でグループ最下位のタイを相手に勝点3を取るだろうことを考えると、日本はもうひとつのライバル・サウジアラビアと出場権を争う形となるでしょう。その際、現状の日本とサウジアラビアの勝点差が1であることを鑑みると、互いの次戦の結果がどうなろうが「最終戦 日本VSサウジアラビアで勝ったほうが勝ち抜け」という状況になります。

次戦の結果で、最終戦が引き分けだった際にどうなるかは多少前後するものの、「勝ったほうが予選突破」は「31日の試合で日本が引き分け以下」の時点で決定し、「負けたほうは予選突破ならず(プレーオフ行き)」もほぼ決定するのです。しかるに、今日本代表が置かれている状況というのは、「31日の試合に勝てば予選突破決定」というものです。これは要するに「31日の試合か、6日の試合のどちらかに勝てば予選突破決定」という状況なのです。2試合のうち1つ勝てばそれでいい。

「残り2試合で1勝」と考えるのと、「次の試合で勝たなければ終わり」と考えるのとで、どちらが正しいでしょうか。必勝を期せば選手交代も相応の追い詰められた形になりますし、「小差で負けるほうがマシ」という状況判断もしなくなるでしょう。必勝態勢で臨むのは、最終戦で問題ないのです。「最終戦に勝てばOK」であることは次戦がどうなろうが変わらないのですから。

もしハリルホジッチ監督の手腕に疑義があり、解任を検討しているのであれば、正しいタイミングは「今すぐ」です。8月31日の試合結果を受けて解任した場合は、次の試合は日本時間の9月6日午前2時30分ですので、丸5日ほどしか準備期間がありません。「今すぐ」解任すれば、31日まで7日ほどの準備期間をとることができます。しかも、「残り2試合で1勝」という、より有利な条件で新監督にお鉢をまわすことができる。

「勝てばOK」の最終戦を誰に託すのか。

このままハリルホジッチ監督に託すのか、新監督に託すのか。

新監督に託したくなるほど、ハリルホジッチ監督を疑っているのならば、「今すぐ解任して、31日の試合は捨てて、9月6日だけを目指して2週間のミニキャンプ調整を経た新監督」に託すべきでしょう。一番マズイのは、次戦の結果を見てからあわてて動くことです。

こういった記事に踊らされることなく、信じるなら信じ抜く、疑っているならすぐ動く、というハッキリした動きを協会には期待したいものです。

(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/)