「ブレイデッドカーボンホイール」の装着イメージ(写真: ポルシェジャパンの発表資料より)

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 ポルシェAGは、ブレイデッドカーボンファイバー製の軽量ホイールを提供する。自動車メーカーとしては世界初である。このホイールは、7月10日より予約が開始された、ポルシェ911ターボSエクスクルーシブシリーズのオプションとして用意される。

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■カーボンホイールによる軽量化で、さらに性能アップ

 現在、車の開発にとって最重要となる3要素は、「パワートレイン」「自動運転」、そして「軽量化」である。カーボン素材の特徴の1つは軽いこと。そのため車のあらゆる部分にカーボンを用いるようになってきた。特に、EUではカーボン開発が先行している。日本は高張力鋼(ハイテン)、米はアルミで開発が進んでいる。しかし日本も、ボーイング787で見せたカーボン技術(東レ)は世界トップクラスである。

 車はカーボンをホイールに採用することで、バネ下重量を軽減することができるのが最大のメリットだ。ボディ全体の軽量化はもちろんだが、バネ下重量を軽くすることで、タイヤのバタつきを抑えて路面への接地性能を良くすることがやりやすい。また、回転質量が小さいことから、加速やブレーキングで性能を上げることができる。ということは、当然操縦安定性も増す。そして、燃費もよくなる。

 ポルシェ911ターボSエクスクルーシブは、3.8リットル水平対向6気筒ツインターボエンジンで、911ターボSを27ps上回る607psの最高出力を発生。最大トルク750Nm。0-100km/h加速タイムは2.9秒、最高速度は330km/hに達するスポーツカーである。

 これに、オプションとしてカーボンホイールを装着すれば、アマチュアドライバーもその性能を一段と堪能することができるであろう。

■自社生産で、標準より20%軽量化

 すでに、カーボンホイールは、2015年発売されたフォードのシェルビーGT350Rマスタングのオプションとして採用されているが、サプライヤーであるオーストラリアのカーボンレボリューション社からの外部供給である。

 しかしポルシェは、自社で生産する道を選んでいる。その名にある「ブレイデッドカーボン」は複雑な製法であるが、径が9メートルもある巨大な専用マシンを自前で投入したのである。本気度がうかがえる。

 このホイールは標準のアロイホイールより約8.5kg軽量、つまり20%も軽量化に成功している。さらに、強度は20%アップしているという。自転車のカーボンホイールはすでに一般化しているが、やはり放熱性に問題があるとしている。この強度アップで、それもある程度クリアできているのかもしれない。

 さらにもう一歩、技術が進化して量産が可能になってくると、我々も恩恵を受けるようになるだろう。ホイールの軽量化で軽くなった分、4輪それぞれにモーターを持たせるインホイールモーターEVも可能になってくるのではないだろうか。