ALMA望遠鏡が捉えたベテルギウスの詳細画像。いびつな形は内部対流と磁場の影響

先端技術研究所(DIAS)が、チリ北部にあるアルマ望遠鏡でとらえた、オリオン座に輝く赤い1等星ベテルギウスの詳細な姿を公開しました。その姿がいびつな格好をしているのは古くから知られたことですが、この画像からはその内部温度にもムラがあり、それが内部対流や磁場の影響と推測されるとしています。

太陽に比べておよそ1200倍の半径を持つベテルギウスは夜空で最も大きく見える星であり、太陽系の中心に置けば見かけ上の表面が木星付近まで達する赤色超巨星です。すでにいつ超新星爆発を起こしてもおかしくない状態にあると言われます。現在はその質量が急速に失われつつあるとされ、研究者たちはその現象がこの星の最期にどんな影響を与えるのかを調査しています。

DIASの天文学者チームは、巨大な電波望遠鏡66基を備えるALMAでの観測によって、ベテルギウスの外見的な特徴をとらえ、さらに温度の分布を調べました。アルマ望遠鏡でとらえたベテルギウスの姿は、左上部分が瘤のように膨れ上がり、その部分が明るさを増しているように見えます。

チームを率いるEamon O'Gorman氏は、この現象が太陽で起こっているのとよく似た内部対流によるものだと考えているとしました。そして、現在起こっている質量の減少のしかたが、超新星爆発によって引き起こされる「超新星元素合成」に影響をあたえるかもしれないとしています。

たとえば、今後早い段階で爆発が起これば、爆発後の核には鉄、ニッケルや金銀が形成され、爆発までに時間がかかるようであれば、鉛やバリウム、炭素、酸素が生み出されるかもしれないとのこと。

Eamon O'Gorman氏とともに論文を執筆したマンチェスター大学のIain McDonald氏はベテルギウスを観測することで、我々を形作るもとになった元素が、すでに失われた星でどのように作り出されたのかを知りたいと語っています。