日本全国に植えられ、今や桜の代表格とも言える「ソメイヨシノ」。実は、東京・駒込が「発祥の地」であることは、あまり知られていない。

そうした経緯もあってか、近年、駒込とそれを擁する豊島区では、ソメイヨシノが大プッシュされている。そこでJタウンネット記者は2017年4月5日、桜盛りの晴れ空のもと、現地に向かって「歩き花見」に興じてみた。

駅前では「サクラポスト」がお出迎え

駒込の桜推しぶりは、駅を出てすぐに目にすることができる。

それがこちらのポストだ。



郵便ポストといえば真っ赤で目立つあのカラーリングが特徴だが、JR駒込駅前に設置されているのはやわらかな桜色のものだ。



カラーリングだけでなく、桜の花も描かれているため、幸運を呼び込みそうだ。

また、駅前にある交番も桜色だ。穏やかな街並みと相まって、のどかな雰囲気を醸していた。



その背後にある公園に植えられているのも、当然桜だ。



こちらは「染井吉野記念公園」で、ソメイヨシノ誕生の歴史についての記念碑も建てられている。



この記念碑と豊島区の公式ページ「ソメイヨシノあれこれ」によると、江戸時代、駒込の一帯は「染井村」と呼ばれており、そこに住む植木屋が「吉野桜」をいう名前でオオシマザクラとエドヒガンの交配種を売り出したのが始まりだという。

その後、それ以前から「吉野桜」と呼ばれていた奈良の吉野山のヤマザクラと区別するため、染井と冠し、「ソメイヨシノ」の名が生まれた。

記念碑には当時の様子が綴られている。





区としてソメイヨシノを強くプッシュする豊島区は、2012年にはシンボルマークをソメイヨシノにちなんだものに変え、区内の小中学校へ植樹をするなど、様々な施策を行っている。



街中にあふれる桜

駒込の桜推しは駅前だけにとどまらない。街中を歩いてみると、桜の木とそれにちなんだものが数多く目に入る。

例えば、商店街の店舗の前には桜の木が飾られ、3月20日に行われた「開花まつり」のバナーが掲げられ、アーチには桜の花を使った大きな飾りが吊り下げられている。ちょうちんの色ももちろん桜色だ。

お肉屋さんで買ったコロッケをかじりつつ歩いてみたが、平日の昼間という時間帯、程よい暖かさも相まって非常にのどかだ。許されるならビールを追加したいところだった。







また、ちょっとした空地や庭にも桜が植えられていることもあり、街全体がどことなくめでたい雰囲気が漂っていた。

都内の桜の見ごろは長くても4月中旬まで。桜の名所で料理をつまむ賑やかな花見も良いが、街を歩きながら眺める「歩き花見」に興じるのも、また違った良さがあった。