WBC出場中のバンデンハーク、千賀、武田【写真:Getty Images】

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準決進出のWBC組、武田、千賀、バンデンハークは開幕ローテ外の可能性大

 ペナントレースの開幕まで残り10日あまり。各球団がチームの編成を見極め、開幕1軍メンバーへの絞り込みを本格化させている。それは今季の日本一奪還を目指すソフトバンクも同じである。

 だが、ここにきて、少々不安な要素が出てきている。開幕ローテの編成である。宮崎キャンプ中から若手も懸命にアピールし、熾烈な競争を繰り広げられていた。先発ローテも、一体誰が生き残るのか、と思われてきたが、状況がいささか変化してきているのである。

 和田毅、武田翔太、千賀滉大、バンデンハークはローテ当確だったが、武田、千賀が侍ジャパン、バンデンハークがオランダ代表として出場したWBC。日本も、オランダも見事に準決勝進出を決めた。オランダは20日(日本時間21日)にプエルトリコと、日本は21日(同22日)に米国と準決勝を戦うことになっている。

 これにより、この3投手がチームへ戻るのは、準決勝ないし、22日(同23日)の決勝のあと。となると、開幕まで1週間程度しかない。激戦を戦ってきた直後とあり、すぐさまローテに入るのは現実的に難しい。多少の休養期間、調整期間が与えられると見るべきで、この3投手は開幕ローテからは外れる可能性が高い。

 そうなると、開幕ローテは現時点でオープン戦のローテに入っている面々に託される可能性が高い。予想開幕ローテは以下のようになる。

若手アピール不足でベテラン勢起用か、状態次第で2戦目は松坂大輔?

3月31日/ロッテ戦 和田毅
4月1日/ロッテ戦 松坂大輔?
4月2日/ロッテ戦 東浜巨

4月4日/楽天戦 大隣憲司?
4月5日/楽天戦 中田賢一
4月6日/楽天戦 攝津正?

 開幕投手に決まっている和田毅、19日のDeNA戦で好投した東浜巨、オープン戦で好投を続けている中田賢一は当確。松坂大輔の開幕ローテ入りもかなり現実味を帯びていたのだが、18日の西武戦で4回途中に左内転筋の張りを訴えて緊急降板。軽症だったようで、その後もチームに帯同しているが、先行きは不透明である。大隣は20日のDeNA戦で3本塁打を浴びて4失点、攝津も15日の巨人戦で3被弾と不安を残してしまっている。

 そこで若手と言いたいところなのだが、取って代われるだけのアピールに至っていないのが現状だ。一昨季のドラ1・松本裕樹はキャンプ終盤に腰の違和感を訴え、一時ペースダウン。オープン戦初登板だった14日の巨人戦(長崎)で3回1失点と好投したが、まだ先発で長いイニングを投げていない。昨季のドラ1・高橋純平も内転筋の違和感でペースが落ち、13日のウエスタン春季教育リーグのオリックス戦(舞洲サブ)は5回2失点。ドラフト1位の田中正義は右肩の状態が上がらず、実戦登板のメドすらも立っていない。

 ウエスタンリーグ開幕戦となった17日の阪神戦(タマスタ筑後)で先発した山田大樹は6回8安打3失点とピリッとせず。昨季のドラ2・小澤怜史が18日のウエスタンリーグ阪神戦(タマスタ筑後)で6回無失点と好投したが、パンチに欠ける。昨季のファーム最多勝の笠原大芽と、最速155キロの石川柊太は、今季は基本的に中継ぎ起用がメインだ。

 こう見ると、ベテラン勢が順当に開幕ローテに入り、結果、内容が振るわなかった投手とWBC組が入れ替わっていくことになるのではないか。松坂は今後の登板が不透明で、ローテから外れるならば、代役は誰になるのか。豊富と見られていたソフトバンク先発陣。WBC組が戻るまでとはいえ、一転、コマ不足となる危険性を孕んでいる。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani