フジテレビ『嘘の戦争』公式ホームページより

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 草なぎ剛(42)が主演を務める「嘘の戦争」第6話が14日に放送され、平均視聴率は前回より1.2ポイント低い10.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)となりました。ここまで11〜12%台を推移してきただけに、折り返しを過ぎてからの下落が気になるところです。

 第6話では、一ノ瀬浩一(草なぎ剛)がいよいよ復讐の本丸とみなす二科興三(市村正親)に急接近。楓(山本美月)との交際を理由に面会を果たします。一度は「信用できない」と浩一と楓の関係を認めないそぶりを見せるも、浩一の毅然とした態度を見るや、一転して婚約を勧める興三。「嘘が嫌いだという君のお父さんにかけて誓えるか。楓を愛し、幸せにすると」と迫られ、一瞬苦悩の顔を浮かべながら、「はい、誓います」と答える浩一。父の復讐のために、父が最も嫌った嘘をつかなければならない現実をあらためて突きつけられます。

 めでたく浩一は興三に取り入ることができたのかと思いきや、ここでは興三のほうが一枚上手でした。本当の目的は、浩一を自分の近くに置いて監視すること。今回の興三と浩一の対決は、まさしく「嘘の戦争」。互いに自分の真実の感情を交えつつ嘘を語り、相手の嘘に嘘で返していく、見ごたえある場面でした。もしかしたら、少しもためらいや苦悩を見せずにでたらめな嘘をつける分、興三のほうが詐欺師に向いているかもしれませんね。

 暴力での解決を良しとしない隆(藤木直人)は浩一のミスから、オーストラリア在住の千葉陽一のブログは、本当は一ノ瀬浩一が書いたものだと確信。児童養護施設で千葉陽一と対面することに成功するも、千葉陽一は一ノ瀬浩一などではなく、ブログで見たままの顔。実は、仕掛けがバレそうになったことを察知した浩一が、急きょ日本に呼び戻したのでした。ついにバレちゃうのか?とハラハラさせる緊迫の場面でした。

 ほっと胸をなでおろす浩一に園長(大杉漣)が声を掛けます。「かかわらないほうがいいよ、二科家には」。「二科家……」とつぶやく浩一。二科隆に、あるいはニシナコーポレーションにかかわるなと言われるならまだしも、「二科家」という言い方が何か引っかかる様子。我々視聴者にも引っかかります。やはり園長は何か知っているはず。「これ以上仁科家にかかわると僕が君を消さなきゃならなくなるから、かかわらないほうがいいよ」という忠告にも聞こえますし、何やら意味ありげで不気味です。

 ラストでは興三が工場建設予定地視察の名目で浩一を連れ出し、「君のねらいは何だ。お前は何者だ!」と問い詰めます。監視すると言ったわりに、泳がせないで単刀直入に聞いちゃうあたりがこらえ性のないじいさんだなって感じもしますが、まあいいでしょう。ところがその直後、興奮のあまり興三が発作を起こして倒れてしまうというまさかの展開。助からないと見るや、置き去りにして歩き出す浩一。その目からは一筋の涙が流れ、口は寂しそうに笑っています。

 ラスボスであるはずの興三が、復讐されぬまま死んでしまうなんて。なんだかモヤモヤするーと思っていたら、突如きびすを返して駆け戻る浩一。「お前が苦しむのはまだこれからなんだよ! こんなあっさり死なれてたまるか! 生きろ! 生きてもっと苦しめ! 死ぬなー!」と絶叫しながら心臓マッサージを繰り返す浩一は、まさに鬼気迫るという言葉がぴったり。興三にまだ意識があるかもしれないのに次から次へと本音が飛び出すところを見ると、やはり浩一はこの件に関しては冷静な詐欺師でいられない部分があるのでしょう。それは浩一にとって大きな弱点。

 ドラマとしては、詐欺師をもだます興三には最後まで浩一の前に立ちはだかり、彼の弱点を突いてほしいですが、果たしてどうなるのでしょうか。次回はついに、あの人のいいお兄ちゃん(安田顕)が破滅のターゲットに。

文・中島千代