名OBの追悼試合で物議を醸すプレーをしてしまったフェルトマン。現在のところ処分などは発表されていないが、褒められたプレーでないことは確かだ。 (C) Getty Images

写真拡大

 アヤックスに所属するオランダ代表DFのヨエル・フェルトマンが試合中に見せた、スポーツマンシップに反する“トリックプレー”に非難の声が集中している。
 
 本拠地で行なわれたエールディビジ22節のスパルタ・ロッテルダム戦(○2-0)に右サイドバックとして先発したフェルトマンが、その物議を醸すプレーを見せたのは、アヤックスが2点をリードしていた52分のことだった。
 
 左サイドでボールをキープした味方FWのベルトラン・トラオーレが、前線へ走り込もうとしたところで相手DFと接触。主審の笛は鳴らずプレーは続行されたが、トラオーレは立ち上がることができずにしばらくの間ピッチに倒れ込んだ。
 
 右サイドの高い位置でボールを受けたフェルトマンはトラオーレを気遣った素振りを見せて動きを緩めると、対峙相手のイバン・カレーロに対して左の手でプレーの制止を要求。しかし、フェルトマンは、カレーロが足を止めてボールから視線を外した次の瞬間にドリブルを再開すると、ゴール前へクロスを供給したのだ。
 
 結果、クロスボールはDFにクリアされて得点には至らなかったが、チームメートの負傷を「おとり」に使い、相手を騙したプレーに批判が殺到している。
 
 英国の高級紙『テレグラフ』は、「フェルトマンは史上最もスポーツマンらしくない戦略を生み出した」と酷評。さらに英紙『デイリーメール』もこの前代未聞の“おとり作戦”を「衝撃的なプレー」と綴っている。
 
 この試合がアヤックスとオランダ代表のレジェンドでヨハン・クライフなどともプレーし、2月11日に他界したピート・カイザーの追悼試合でもあったことからも、さらに悪印象が強まってしまったようだ。
 
 クラブで副キャプテンを務めるなど人格者としても知られるフェルトマン。地元メディアの『メトロニュース』の取材に対して次のようにコメントし、強気に振る舞っている。
 
「あれはトリックさ。ベルトランが倒れているのを見て、これを利用しようと思った。もちろん褒められるようなプレーではないのは分かっているけど、あれはトリック以上の何ものでもないよ。あのクロスからゴールが生まれていたら? ゴールはゴールさ」