iPhoneのHDR撮影、使ってる? 使うべきシーンと使うべきでないシーンの違いを知っておこう

写真拡大 (全3枚)

進化著しいiPhoneのカメラ機能だが、果たして使いこなしているのだろうか。
これは、ほぼ自問でもある。
というのは、いまだに筆者も「HDR(ハイダイナミックレンジ)」って何? といった状態で、実際の効果やメリット、仕組みなど、よくわからないからといって無意識に使うのを避けてきたからだ。

HDRというと、何となく
複数枚連続で撮影する=容量をたくさん使う
というイメージ(そう、これは間違っている……)もあった。

iPhoneでの撮影は、主にメモ的な使い方をすることが多いので、デジカメでの撮影のように、それほど高画質にはこだわっていなかった。人は、興味や関心を持たないと、無意識に遠ざける傾向もあり、「HDR」機能と距離をとっていた。

とはいえ、設定項目にある「通常の写真を残す」の設定のメリット/デメリットがわからず、気になり始めたので、意を決して調べてみることにした。

HDR(ハイダイナミックレンジ)とは?
音や光の波長には最大値と最小値があり、それらの情報を信号として入力し、記録され、再生機器から出力される。しかし、たいていの場合、ハードなどの機器の特性によって制限がかかる。扱うことができる値を超えれば歪むなどの影響が出る。小さすぎれば適正な状態で再生できない。

ざっくりいうと、「ダイナミックレンジ(dynamic range)」は、扱える信号の最大値と最小値の比率のことで、機器の性能を表わす指標として用いられる。これは、音もそうだし、カメラの扱う光もそう。

そして、ハイダイナミックレンジ合成(high dynamic range imaging)が何かというと、「従来よりも幅広いダイナミックレンジを表現するための写真技法の1つ」ということになる。

ダイナミックレンジをあげる、最大値と最小値の比率が大きくなるというのは、つまりそれだけ再生時の表現能力が高くなるということ。

同じ色でも、明暗や彩度など、より豊かな表現ができるのだ。仕組みとしては、HDR合成用のソフトや露出補正ができる現像ソフトなどを用いて、露出補正をして撮影された複数の画像を重ねて合成し、ダイナミックレンジをあげるのだ。

具体的には、iPhoneカメラのHDR機能は、
1,シャッターを切った瞬間に異なる露出で3枚の写真を連写
2,撮影した複数のデータを合成する
この方法でダイナミックレンジをあげる。
そして、肉眼の見え方に近い、より自然な写真に仕上げるのだ。

テストで撮影してみた写真を見比べてみると、効果は確実に違う。
特に白色の出方が違う。こうなると、HDRで撮影しないのは宝の持ち腐れという気になってくる。


HDR適用



HDR未使用(通常撮影)


◎「通常の写真を残す」意味はない?
そして、ここが重要なのだが、HDRで撮影した写真の容量がバカでかいかというとそうではないということ。
はっきりいうと、データ容量はほぼ変わらない(もちろん、撮影するものや状況によって異なるが)。

しかし、1つ注意したいのが、設定で「通常の写真を残す」をオンにしていると、通常の露出で撮影した写真も同時に保存されるということ。
ある意味、同じ写真がダブってしまうのだ。当然、その分の容量が増す。
iPhone本体のメモリー(記憶容量)を節約する意味でも、HDRで撮影をするならこの設定はオフにしておきたい。

つまり、インスタグラムやFacebookなどに投稿するような「いい写真」を撮りたい場合、HDRは非常に有効。ただ、HDRでの撮影はシャッターを切って、戻ってくるまで、通常の撮影時よりも時間はかかる(といってもわずか数秒だが)。

そのため、ほんのメモ代わりに撮影するという場合には、HDRは適していない。
そのため、「通常の写真」云々の話になってくるのだ。

結論として、
・HDRで撮影することでバカでかい容量になることはないのだから、積極的に使って大丈夫
・しかし、シャッターを切ってからの時間は数秒待つので、メモ的に使う場合には注意
ということになる。


大内孝子