小島慶子 20代の“求められる女子”を乗り越えて

写真拡大

資生堂のCMが「25歳からは女の子じゃない」や「頑張っていてもそれを顔に出さない」と表現していることに対して、「女性差別だ」など批判が出ている。資生堂ではそれを受けてCM放映を中止すると発表した。元TBSアナウンサーでタレントの小島慶子は、CMの第1弾「25歳からは女の子じゃない」についてSNSやブログで内容をもっと考慮すべきだったと持論を寄せている。

小松菜奈、森星、夏帆が出演する資生堂・インテグレートのCMの第1弾は、25歳の誕生日を迎えた女性(小松)に友人(森・夏帆)が「今日からあんたは女の子じゃない」「もうチヤホヤされないし、褒めてもくれない」「カワイイという武器はもはやこの手にはない」と言い聞かせるものだ。公式サイトとテレビで流したところ「女性差別」や「セクハラ」など批判が出たことを受けて削除及び放映中止が決定された。

「25歳すぎたらもう女の子じゃないって、ひどくない?」と感じる女性が多いなか、小島慶子は10月7日に『小島慶子オフィシャルブログ』で「私の感想は、それとはちょっと違います」と主張している。いつまでもカワイイ女の子でいるのが魅力的だという概念を知らず知らずのうちに女性自身が持ってしまったのではないか、「若い子サイコー!みたいな見方しかしない人に、なんでいつまでも好かれなきゃいけないと思ってたのかしら」と自身が気づいた頃を振り返る。

彼女が20代の頃は“求められる女子”に馴染めず苦しかったという。今では「可愛げのある女の子」や「気の利く女子」を求められることもなくひとりの大人として見られるので楽になったそうだ。また、「あるべきお母さん」を押し付けられたとしても「気にしてません」「的外れなダメ出しは スルー」と相手にしない。女性に「可愛い女の子」「素敵な奥さん」「完璧なママ」でなければいけないと求める世の中には「みんなでNO!って言おうよ!」と呼びかけていた。

小島慶子(account_kkojima)ツイッター』でも「“女は女の子であれ圧力”こそが女性が大迷惑している価値観だし、若い女性自身がそう思い込んで成熟をネガティヴに捉えてしまう要因だもの。加齢、楽しいよ」という小島慶子。「私は今44歳ですが、人生で今が一番、楽しいです」と自らそれを実感しているようだ。

彼女は触れていないが、資生堂の第2弾CMでは男性上司がパソコンとにらめっこする部下の女性(小松)に「今日も頑張ってるねえ」と声をかけつつ「それが顔に出ているうちは、プロじゃない!」と指摘する。これには「しんどい生き方を助長するようだ」「女は仕事ができても疲れた顔してるとダメなんだ」といった批判があった。資生堂は第1弾の反響と総合して「大人の女性になりたいと願う人たちを応援したいという、当CMの制作意図が十分に伝わらなかったことを真摯に受けとめて」CM終了を決定したという。

今年の春には、矢口真里が出演する日清食品カップヌードルのCMがやはり批判を受けて1週間で放送を中止した。不倫騒動のイメージが強い矢口を起用していることからクレームが寄せられたのが大きな理由だ。また、CMではないが2012年福岡市が仮想の行政区“カワイイ区”をスタートしたものの「男女差別を助長する」とのクレームが4件寄せられて、審議会で協議した。そんななかイメージに影響して迷惑をかけるわけにはいかないと区長の篠田麻里子が退任となる。ただ、市民からは「4件の苦情で解任するのは残念」「男女差別には当たらない」との声も多かったようだ。市は2代目区長を任命するもやがて2015年3月31日にカワイイ区を終了した。

他にも批判を受けて中止や終了につながるケースは少なくない。SNSの普及とともにネットには批判が溢れており、なかには冷やかしのような声も見受けられる。そうした時代にあって企業や行政が力を入れる取り組みを数件の批判を受けたからと中止にするのは、“作る”側のモチベーションに影響するのではないか。ネットでの批判に敏感すぎる風潮に輪がかからなければよいが。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)