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秋に旬を迎える食材の一つであるさんま。たっぷりと脂の乗った濃厚なうまさに舌鼓を打つ機会が、これから自然と増えていくだろう。このさんまをはじめとする青魚などには「オメガ3脂肪酸」と呼ばれる脂肪酸が含まれており、がんや心疾患、生活習慣病予防などに効果があると考えられている。

ただ、他の食べ物と同様に「食べすぎ」は禁物のようだ。海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど掲載された記事によると、脂肪酸の過剰摂取は糖尿病を引き起こすリスクを高める可能性があるという。

特に脂の乗った青魚には、「頭がよくなる」「心疾患リスクを低減する」「脳・循環器等の細胞の炎症を抑える」といった効果が期待できるオメガ3多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれている。心臓と脳によい魚は、ある意味で「スーパーフード」と呼んでもいいだろう。しかし、毎日のように脂の乗った魚を食べて脂肪酸を摂取し続けると、2型糖尿病に罹患(りかん)するリスクが26%高まったとする研究内容が最近発表された。

研究では、フランスの科学者チームが7万人を超える女性の食習慣を分析。女性たちは、がんやその他の主な非感染症に関係しているリスク要因を調査する1990年に行われた研究に参加していた。

分析した結果、オメガ3脂肪酸を最も多く摂取した人は、ほとんど摂取しなかった人と比べて、糖尿病に罹患するリスクが4分の1以上も増大することが判明。BMIなどの要因も考慮したうえで、毎日イワシかシャケを食べることに相当する1.6gの多価不飽和脂肪酸を摂取した上位3分の1の女性は、1.3g未満の多価不飽和脂肪酸しか摂取していない女性と比べて、2型糖尿病罹患リスクが26%も高かった。

より詳細にみていくと、肥満女性の中でオメガ3脂肪酸を多く摂取する人は、そうでない人と比べて糖尿病罹患リスクが19%高まっていた。さらに、肉の赤身にも含まれている「ドコサペンタエン酸」と呼ばれるオメガ3脂肪酸を摂取すると、そうでない人と比べて、糖尿病罹患リスクが非肥満女性の間では45%、肥満女性の間では54%も高くなっていた。

また、脂の乗った魚と肉に含まれているオメガ6脂肪酸の「アラキドン酸」でも同様の結果となった。アラキドン酸を多く摂取する人は、そうでない人と比べて糖尿病罹患リスクが非肥満女性の間では50%、肥満女性の間では74%、それぞれ高まっていた。

「2型糖尿病罹患リスクに関して言うと、多価不飽和脂肪酸の種類によって影響が異なるようだ。ドコサペンタエン酸とアラキドン酸を多く摂取することで、2型糖尿病に罹患するリスクが高まっている可能性がある。脂の乗った魚や赤身の肉を食べてはいけないというのではなく、栄養面で必要な分量よりも過度に肉を食べることを控えるのがよいだろう」とフランスのヴィルジュイフにあるパリ・サクレー大学のガイ・ファガラッチ博士は語る。

さんまやサケなどの脂の乗った魚は、週に4人前(4回)未満の摂取にとどめた方が好ましいと専門家は指摘している。やはり食事は栄養バランスが重要。おいしい旬の魚ではあるが、くれぐれも食べ過ぎに気をつけてほしい。

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。

(杉田米行)