最近、“ポーカー”というものが巷で大流行しているのをご存知だろうか?

ポーカーと聞くと、カジノ、ギャンブル、賭博などのダークなイメージを持つ方も多いかもしれない。しかし今流行っているのは、あくまでクリーンな、アミューズメントとしてのポーカーだ。それは頭脳ゲーム、さらにはスポーツとも認識されている。そして驚くことに、その客層は東カレ的ライフスタイルを送る何ともオシャレな人種なのだ。

なぜ日本でポーカーが流行りだしたのか?オシャレな男女が集まるその理由は?

先月開催されたポーカーイベントを取材し、その魅力に迫った。




オリンピックの正式種目に?頭脳スポーツとして高い社会的地位を誇るポーカー


柔らかな明るい陽射しが心地よい休日の昼下がり、そのポーカーイベントは大盛況で開催されていた。場所は千駄ヶ谷の『バロワーテラス』。ヘルシーな食事と、広々としたテラスが人気のオシャレなカフェだ。

冒頭で述べた最近流行りのポーカーというのは、映画「007/カジノ・ロワイヤル」の劇中で使われ知名度をグンと上げた「テキサス・ホールデム」というスタイルのものだ。詳しいルールはここでは割愛するが、プレーヤーそれぞれに2枚の手札、そして5枚の共通カードから役を組み合わせて勝負をするゲームである。

ポーカーと聞くとギャンブルのイメージが強く、敬遠される方も多いのではないだろうか?

しかし実は、ポーカーは囲碁やチェスと同様にIOC国際オリンピック委員会に認められている競技性の強い“頭脳スポーツ(マインドゲーム)”である。競技人口は世界で1億人以上、野球の競技人口と肩を並べ、頭脳ゲームとしては世界最大級の規模だ。将来的にはオリンピックの正式種目になる可能性もあるという。

特にポーカーが盛んなアメリカでは、子どもの“将来なりたい職業”としてメジャーリーガーやアメフトと共にプロポーカープレイヤーは人気があり、社会的地位もかなり高い。




何よりも驚きなのは、このポーカーの参加者たちが、かなりオシャレな人種であることだ。

外資系金融マン、投資ファンド運用者、広告代理店マン、IT系社長、レストランオーナー、芸能関係者、そして外国人の方などなど...英語と日本語を巧みに操るバイリンガルのセクシー美女という人種までおり、そこでは皆が何とも楽しそうに談笑をしながらゲームをしている。

彼らは一体どうしてポーカーを始めたのだろうか?そしてその面白さとは?その何人かにインタビューを試みた。


経営者、金融マン、そしてプロ。華やかな人種がポーカーにハマる理由とは?


ポーカーは、会社の経営と極めて似ている。経営者としての刺激にもなる


まずは、株式会社ファイブセンシスの代表取締役、加藤範之さん。




飲食事業向けの戦略コンサルティング会社の代表を務め、“Asia’s 50 Best Bars 2016”という世界ランキング2位を獲得した上海のバー『Speak Low』のオーナーでもある。

「以前ニューヨークに住んでいて、ポーカーはそこで覚えました。」

ポーカーは囲碁や将棋と同じ頭脳ゲームと呼ばれているが、運の要素を多く含むゲームだ。しかしそこには、単純に運や実力だけではない独特の魅力がある、と加藤さんは語る。

「ポーカーは会社の経営と極めて似ていると思うんです。その意思決定には、統計学や確率論といった論理的で数学的なアプローチが用いられます。会社経営も、基本的にはマーケティング理論や経営戦略論を拠り所に意思決定するのに似ているのかな、と。」

しかし、ポーカーではいくら合理的に“正しいはず”の戦略を実行していても、ゲームの進行具合によって状況が都度変化する。圧倒的に有利だと思っていた矢先、突然不利な状況に陥ることもある。会社経営も同様だ。

「つまりポーカーも会社経営も、理論、知識や技術という合理的なものと、タイミングや運の流れというような非合理的なものをあわせた上で “正しい意思決定”を積み重ねていく事で勝利に近づいていくものだと思うんです。とにかくすごく面白い。」

ポーカーは不完全情報ゲームと呼ばれ、ノーベル経済学者ジョン・ナッシュの提唱する「ナッシュ均衡」や「ゲーム理論」という学術的な側面から「経営戦略」「事業投資」にも通ずる奥深さがある。イチ経営者としての感覚を研ぎ澄ますためにも、ポーカーは刺激になるという。


囲碁や将棋と同じ。頭脳ゲームとしてのポーカーは、もともと日本人に向いている


ハウスクリーニング等の身近な仕事をプロに依頼できるという革新的なサービスを提供するウェブサイト、Zehitomo.comを経営するジェームスさん。




彼は今回のトーナメントの優勝者でもある。学生時代から海外でポーカーを嗜み、その歴は長い。大きな大会での入賞経験も多く、プロ並みの腕を持つ。ポーカー界では有名人だ。

「少し前まで、日本人はポーカーが弱いイメージがあり、その人口も少なかった。中国や韓国ではかなり前から流行っていたし、有名なポーカープレイヤーもいましたから。でもここ数年で、日本人ですごく強いプレイヤーが何人も現れましたね。」

日本のポーカーブームは、他のアジア諸国と比べて少々遅れている印象があった。しかし元々日本人は囲碁や将棋などの頭脳ゲームを極限まで極めるという性質がある。ジェームスさんいわく、ここ数年で日本人のポーカースキルは世界で通用するレベルまで伸びたと言うのだ。

「日本人はやはり頭脳戦が得意だと思うので、これからポーカーコミュニティはもっと広がると思います。」


カラオケ、ダーツに次ぐオシャレスポットに?誰もが夢中になるポーカーから目が離せない!


ゴルフやテニスのプロと同様、大手事務所との専属プロポーカープレイヤーという職業


さらに、世界的大手事務所PokerStarsと専属プロ契約を結ぶプロのポーカープレイヤーである、一ノ瀬公聖さん。




プロのポーカープレイヤーとは、まだ日本では聞き慣れない。しかし、世界的にポーカーはスポーツとして認識されている。大手事務所とプロ契約をすれば、ゴルフやテニスのプロと同じようにスポンサーが付き、結果を出せば報酬が出るという、れっきとした職業である。

「僕もカナダ留学中にポーカーと出会いました。今はプロという形で仕事をさせて頂いていますが、僕にとってポーカーは社交場だと思っています。年齢、男女、人種は関係なく、テーブルに座ってしまえば誰しもが差別なく同じ条件でゲームを楽しめる、素晴らしいスポーツです。」

ポーカーは頭脳ゲームではあるが、勝敗の要素として“運”もある。よって、素人でもプロに勝つことがあるのだ。例えばゴルフで素人がタイガー・ウッズに勝つことはあり得ないが、ポーカーではその可能性がある。その平等さが大きな魅力の1つでもある。

「日本でも各地にポーカースポットが増えています。例えば食事の後にカラオケやダーツバーに行くような感覚で、お酒のついでにポーカーを楽しむ、なんてスタイルもオススメです。」

彼はポーカーを日本で広めるため、DMMラウンジのスキルアップ講習を主催し、かなり高い評判を得ている。

ポーカーを通じて普段の生活では出会わない人種と仲良くなることが多いと、ポーカープレイヤーは誰しも口にする。一緒にゲームを楽しむことで、それは有効的なコミュニケーションの場になる。異業種交流会と言っても過言ではない。会場ではまさに、多種多様なプレイヤーが親しげにその会話も楽しんでいる様子であった。




有名大学やエリート、様々な方面から盛り上がりを見せるポーカーから今後目が離せない!


最後に、このイベントを主催した株式会社ZAWAの代表を務める尾尻泰洋さん(中央)




彼は元々外資系金融の営業職をしていたが、現在は小林健人さん(左)、ガブリエル・ヒューさん(右)とともにZAWAの共同経営をしており、ポーカーに関連するイベントの企画や、ポーカーにちなんだ英語文句をロゴとした洋服や小物を販売している。

尾尻さんの経験上、証券のトレーディングもポーカーに通じている。業界でも有名なトレーダーが、趣味でポーカーを楽しんでいることも多いそうだ。

「ベット額や損切りの心理など、ポーカーは相場と似ています。さらに人間関係、心理学、統計学、そしてお金(チップ)というすべての要素が絡み合うゲームで、だから大人がハマるんだと思います。実際日本のポーカーの人口は増えているので、イベントを通じて海外のようにスポーツ感覚でポーカーを楽しんでもらえたら嬉しいです。」

さらに最近では、慶応、早稲田、上智などの有名大学でもポーカーサークルがあり、若い世代からも盛り上がりを見せている。大手広告代理店博報堂でも、「HAKUHODO POKER CLUB」という公式のクラブ活動があるそうだ。

このように大きなブームを起こしているポーカーであるが、東京では主に、六本木の『BACKDOOR』、歌舞伎町の『ネコカジ』、秋葉原の『カジノクエスト』という本格アミューズメントカジノで気軽にゲームを楽しむことができる。今回の主催者であるZAWAと一ノ瀬公聖が企画するイベント「SHINBUNSHI LEAGUE」も盛況だ。

日本人の大御所ポーカープレイヤーであるSHIMADA Shinyaさん著書「トーナメントポーカー入門〜テキサスホールデムの基本理論〜」、訳書に「アグレッシブポーカー〜トーナメントを制覇しろ〜」がある。ポーカーにご興味を持たれた方は、一度専門書を手に取って見るのもオススメだ。

前に述べたように、日本でもカラオケやダーツに変わって、ポーカーという大人の遊びが主流になる日も近いかもしれない。頭脳ゲーム、スポーツとしての“ポーカー”の動向に、これから目が離せない。