『ラヴソング』公式HPより

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 5月2日に放送された月9ドラマ『ラヴソング』(フジテレビ系)が平均視聴率8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)を記録したことが6日、明らかになった。全話平均視聴率も9.4%と過去最低のペース。かつて『極悪がんぼ』(フジテレビ系)が記録した月9史上最低の平均視聴率7.8%、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)が記録した全話平均視聴率の最低記録9.7%の更新が現実味を帯びてきた。

■視聴率は新展開へ! 涙の自爆街道まっしぐら

 不調著しい『ラヴソング』。「物語は新展開へ!涙のキス」と題した第4話は、3話までの西谷弘氏(54)に代わり、『やまとなでしこ』(フジテレビ系)や『HERO』(フジテレビ系)も手がけた平野眞氏(50)が演出を担当した。

 4話は、佐野さくら(藤原さくら・20)のミュージシャンプロデビューをめぐるストーリー。冒頭では、神代公平(福山雅治・47)のベッドシーンがまるで第1話の批判されたベッドシーンの撮り直しのように流れる。次の場面では、神代が「お金がない」とボヤキながら1DK以上の広くてオシャレな部屋に引越しする。ドラマ後半には天野空一(菅田将暉・23)が、レコード会社の面接を控える佐野を車で送迎しようとするも、働いていた詐欺会社の暴力沙汰に巻き込まれて事件に。レコード会社にそれが問題視され、佐野のデビュー話が消滅する。後日、天野は謝罪しながら心をかき乱し、佐野に突然キスをする。

 放送後に発表された平均視聴率は、8.5%と不本意な結果に。視聴者からは「当然の結果」「結婚した時点でリアリティ無さ過ぎて見ない」「福山雅治でもダメとかフジテレビ上層部は禊したほうがいい」とバッシングの嵐。『いつ恋』も成し得なかった最低2冠に再度挑戦する勢いだ。

「放送前にPR記事を出したり新しいキャストを起用したりするも視聴率は低下。やることがことごとく裏目に出ています。おまけに4話では、演技力が光って好評だった菅田を、幼なじみのデビュー話をブチ壊したあげくキスをするゲス男に仕立てました。視聴者から見れば、フジはただただ勝手に自爆しているように見えるかもしれません」(報道関係者)

 なぜこれほどまでに『ラヴソング』は不調なのか。悩むフジは、専門家に"敗因分析"を依頼したという報道も出ている。

「『ラヴソング』のみならず、『OUR HOUSE』(フジテレビ系)や『めちゃイケ』(フジテレビ系)も大爆死です。近年のフジはキャスティングや演出、宣伝、人事など様々な事柄で叩かれ、局全体で低迷しています。原因の根っこはかなり深く、制作陣も何が悪いのか判断できなくなっているのではないでしょうか。だからこそ一過性の話題作りや事務所の圧力に流されやすい。いっそのこと、『ラヴソング』のみならず全部署を洗いざらい調べたり視聴者アンケートを実施したりして、企業体質を内外から分析するのも一つの手かもしれません」(前出・関係者)

 フジの不調については、今でも視聴者や関係者、評論家の間で諸説飛び交っている。1996〜1997年に行なわれたお台場移転後から「庶民感覚にズレが出てきた」と語る説、俳優・高岡蒼甫(34)が2011年に「フジテレビの韓国洗脳は頭がおかしくなるくらい異常」「フジテレビは韓国行けばいいと思う」などとツイートしたことに端を発する韓流報道批判など、フジの"負のスパイラルの始まり"がどこなのか何度も論じられてきた。

「各所で優秀な人材をみすみす流出させている可能性も考えられます。大ヒットドラマの『半沢直樹』(TBS系)や『下町ロケット』(TBS系)の脚本を手がけた脚本家・八津弘幸氏(44)は1999年まで数年間、フジのアシスタントプロデューサーだったようです。しかし、今はTBSに入り浸って『池井戸潤の原作物ならこの人』と言わしめるほど大物に化けました。フジも『ラヴソング』で新人脚本家の倉光泰子氏(32)を起用するなど人材の世代交代を狙っていますが、結果はニュースのとおりです」(前出・関係者)

 最低2冠に向けてひた走る『ラヴソング』。不名誉な記録をこのまま塗り替えるのか、それとも起死回生の一発が残されているのだろうか。はたまた、早期打ち切りを余儀なくされるのだろうか……?

文・橘カイト(たちばな・かいと)※1979年島根県生まれ。編集プロダクションを経て、フリーに。週刊誌などで芸能関係の記事を執筆。また、民俗学などにも精通し、日本のタブーにも数多く取材。主な著書に『真相!禁忌都市伝説』(ミリオン出版)ほか多数。