伝統的にして革新的な日本料理「緒方」の季節ごとに変わる煮物椀特集
皆さま、ごきげんよう♬関西のお店が続きましたが、もうひとつ、お気に入りの日本料理店を紹介させてくださいね。そのお店は京都の四条烏丸は膏薬図子に佇む「緒方」です。京都祗園の「川口」、大阪心斎橋の「もめん」とともに、こちらも大好きなお店で、機会を見つけてはリピートしております。これまで1年、12ヶ月すべてのお料理をいただきましたが、今回は日本料理の華ともいえる煮物椀の中から、「緒方」らしいもの、とくにおもしろいと思ったものをご紹介させていただきます。
皐月の煮物椀
皐月、5月の煮物椀は、写真のとおり輪切りにした新たまねぎのみです。青味も、吸い口も省略して、simpleそのもの。私としましては、椀種の新たまねぎの白い同心円の美しさがくっきりと印象的に記憶に残り、毎年新たまねぎの季節になると思い出す一椀です。
この煮物椀、見た目はsimpleですがじつはとても手間暇かけて作られています。ひとくちいただくと、新たまねぎの真の美味しさが体に沁みわたるような感覚になります。
この煮物椀、見た目はsimpleですがじつはとても手間暇かけて作られています。ひとくちいただくと、新たまねぎの真の美味しさが体に沁みわたるような感覚になります。
葉月の煮物椀
大将の緒方さんにより花火と題された葉月、8月の煮物椀。私としましては、なるほど、ドーンと打ち上って夜空にパッと咲く花火ように思いますが。皆さまの目にはどのように映りますでしょうか。
お椀の中の花火は、黄と赤のフルーツトマトと、白玉団子で具象的に表現されています。季節感に溢れ、おもしろい見た目だけでなく、手間暇かけて料理されていてとても美味しいです。やはり私の記憶にくっきりと残り、夏になると思い出さずにいられない一椀となりました。
お椀の中の花火は、黄と赤のフルーツトマトと、白玉団子で具象的に表現されています。季節感に溢れ、おもしろい見た目だけでなく、手間暇かけて料理されていてとても美味しいです。やはり私の記憶にくっきりと残り、夏になると思い出さずにいられない一椀となりました。
神無月の煮物椀
こちらの10月のお料理は、松茸の天ぷらに始まり、独特の生の松茸を使った松茸ごはんに終わります。しかし、大将の緒方さんは、コースを構成する際、高価な食材を並べることはしません。
他の月も同様ですが、旬の野菜など、植物性の食材を用いて、その季節をくっきりと印象に残してくれるお料理を必ず用意してくださいます。
写真の煮物椀もそのひとつ。菊花を散らした出汁と、小布施の渋皮栗の、美味しいことと言ったら!!譬える言葉が見つかりません。
他の月も同様ですが、旬の野菜など、植物性の食材を用いて、その季節をくっきりと印象に残してくれるお料理を必ず用意してくださいます。
写真の煮物椀もそのひとつ。菊花を散らした出汁と、小布施の渋皮栗の、美味しいことと言ったら!!譬える言葉が見つかりません。
師走の煮物椀
最後は師走、12月の煮物椀です。この月は間人の蟹をたっぷりといただけるのですが、例によって、豪華な食材で押しまくるようなことはせず、煮物椀は写真のとおり、季節の野菜と出汁だけで作られています。
冬らしく、蕪で雪や霙を表現し、堀川牛蒡で雪の積もった樹木の枝を表現しています。
見た目は、雪に覆われた真冬の野山をイメージさせるような枯れた味わいを想像させますが、ひとくちいただいたときのその豊かな美味しさと言ったら!!やはり譬える言葉が見つかりません。
冬らしく、蕪で雪や霙を表現し、堀川牛蒡で雪の積もった樹木の枝を表現しています。
見た目は、雪に覆われた真冬の野山をイメージさせるような枯れた味わいを想像させますが、ひとくちいただいたときのその豊かな美味しさと言ったら!!やはり譬える言葉が見つかりません。
以上、今回は「緒方」の「煮物椀」を、ほんのちょっと書かせていただきました。 大将の緒方さんは、最新の調理技術は用いず、高級食材のみに頼ることもなく、伝統に培われた技と食材を用いて、新しい日本料理を創造しているところが、私としては魅力であり、惹かれるところです。コース中のどのお料理につきましても煮物椀と同様、伝統的にして革新的であり、尚且つ、訪れるたびに進化し続けていると感じさせて、将来が楽しみでもあります。 よろしければ皆さまも、大将の緒方さんの唯一無二の日本料理を、一度楽しまれてみてはいかがでしょうか。