いよいよ始動TV「ルパン三世」動いて動いて動きまくるルパンが来るぞ
年に一度のテレビスペシャルは続いていたし、『LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜』『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』などのスピンオフも盛り上がっていた。映画『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』は興収42億円の大ヒットを飛ばしている。
まずは先行公開されたオープニング映像を見てみよう。これを見れば、「『ルパン』が始まる！」とビビッと本能が刺激されるはずだ。
うん、カッコ良い！ 音楽はご存知、大野雄二による「THEME FROM LUPIN III 2015」。やっぱりこの曲が流れると「ルパン！」という気がするね。かつての「ルパン三世のテーマ」に近い、疾走感を重視したアレンジだ。
今回のルパンは、20代後半という設定になっている。これは『〜峰不二子という女』に続いてルパンの若返りを意味する。
ルパンの表情も引き締まっていており、精悍さが増しているようだ。次元ともども、コミカルというより野性味が強いキャラクターになっている。
緑、赤、ピンクと続いてきた背広の色は、鮮やかな青。サンマリノから望む地中海の色であり、「青春」という言葉の通り若さを示す色でもある。
徹底して本物のディテールを
物語の舞台はサンマリノ共和国。四方をイタリアに囲まれた、八丈島ぐらいの大きさしかない世界で5番目に小さいミニ国家だ。
ルパンの愛車として知られるフィアット500はイタリアの車。オープニングでは最初にアメ車（なぜかナンバーが60年代にのみ使われた「品」表記になっている）に飛び乗るが、途中からフィアットに切り替わる。
ルパンのフィアットについているサソリのエンブレムは、フィアットの車体を競技用に改造していたイタリアの自動車メーカー、アバルトのもの。アバルトのレース仕様フィアットだから警察車両のスピードにも対抗できるのだ。
また、イタリアが舞台とあって、オープニングで峰不二子が乗っているオートバイも、イタリアのメーカー、ドゥカティの750SSイモラレプリカになっている。
車や拳銃などをそれっぽい表現でごまかさず、徹底して本物のディテールを描き込む「実証主義」は、『ルパン三世』が始まった頃からの重要なコンセプトの一つだ。
物語の鍵になるのが、「ルパンの結婚」。基本的には１話完結だが、自由奔放なセレブ娘、レベッカとルパンの関係がシリーズを通した大きな物語になりそうだ。
総監督の友永和秀氏は、77年からの『ルパン三世』にアニメーターとして参加していた超ベテラン。宮崎駿監督のデビュー作『ルパン三世 カリオストロの城』の有名なカーチェイスのシーンは友永氏の手によるものだ。
インタビューでは「ファーストシーズンのように『ハードボイルドで大人っぽいテイストにしよう』と」企画時から決まっていたと話す友永氏。とはいえ、シリアス一辺倒ではなく、泣ける話や破天荒な話などバラエティ豊かに取り揃えられているとのこと。
アニメーション制作を務めるテレコムアニメーションフィルムは、かつて大塚康生、宮崎駿、高畑勲らが所属していたアニメーション界の名門だ。前述の『カリオストロの城』もテレコムの仕事だし、近年の『次元大介の墓標』なども手がけている。
プロデューサーの浄園祐氏は「今できる最大限のルパン」「どこを切っても『テレコムのルパン』」と力を込める。
テレコムならではの、動いて動いて動きまくるルパン一味が見られるはずだ。
みんなが見たかったルパンがいよいよ
エンディングテーマは、つんく♂作詞、大野雄二作曲、石川さゆり歌の「ちゃんと言わなきゃ愛さない」。つんく♂は大野雄二が指名したというのだから、大野先生、若いね。石川さゆりは椎名林檎とコラボした「名うての泥棒猫」が堂々たるスパイ歌謡（？）だったが、今回はルパンジャズとのマッチング。軽妙かつドスを効かせながら女心を歌い上げる。
今回の『ルパン三世』を、ルパン三世役の栗田貫一は「ストライクなルパン」と表現している。テレコムアニメーションフィルムの公式ツイッターは「ど真ん中のルパン」と書いている。
これは、みんなが見たかったルパンがいよいよ見られるということなんでしょうか。
底抜けに明るくて、ハードボイルドなんだけど、悪になりきれない。天才的なアクションで世のゴキブリ野郎どもをダメージする、痛快無比の大泥棒の物語。
そうでしょう、期待させてもらいますよ。
今夜26時40分、チャンネルは決まったぜ。
（大山くまお）
