もうどんな展開になっても驚きません「まれ」115話

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朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)8月10日(月)放送。第20週「男たちのウイークエンド」第115話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:西村武五郎


115話は、こんな話


「まいもん」のマスター(諏訪太朗)が店を譲るという提案を希(土屋太鳳)はさくっと拒否。お手製の人生設計図に従い、子づくりも後まわしにして、いまは塗師屋の女将の仕事をがんばろうとする希。だが、この話を聞きつけた徹(大泉洋)ががぜん張り切りだして・・・。

今日の、つっこ「まれ」


「マスターのこの提案がのちに大事件を引きおこすことになるということをそのときはまだ誰も知りませんでした。」(ナレーション/戸田恵子)
「そのときはまだ誰も知りませんでした」というのは、お話を書くときについ使ってしまう常套句。ついに「まれ」でも登場です。
マスターが自分も引き際と言うと、とくに料理をつくっていたわけじゃなく、儲からないから辞めるだけという笑いに収束させてしまったことで、「釣りかよ!」とツッコミが入るのを予期して、いえいえ、それだけじゃないですよー、とあらかじめ断っておくことにしたようです。
でも「まれ」ヘヴィウォッチャーはもうどんな展開になっても驚きません。
希が横浜に来たばかりのときに書いた人生設計図を未だ書き続け(そのつど書き直して)、それに従っているというのを見て、これまでずいぶん場当たり的に生きてきたのに、まだ設計図に従っていたの?・・・と口をあんぐりさせながらも、まあ、希だからなあ・・・と寛容な気持ちになっております。
そんな希に、すっかりライターになってしまった一子(清水富美加)が、
「家族の幸せの形」とは何かを問いかけます。

子供はまだ先と言ってるときの希の恥じらっているような表情が印象的。土屋太鳳さんの芝居の巧さがもっとカタルシスになる展開を希望します。

今日の、気になる


塗師屋で働いている井田和彦(塩山誠司)。
横浜に来たときはイケメンの塗師屋というふれこみで(希が勝手にそういうことにした)がっかりされたり、みのりにじゃがいもをひとりだけ食べさせてもらえなかったり、圭太の過去の二股を蒸し返して怒られたり、115話では洋一郎の代わりにお見合いしたいと身を乗り出したけれど誰にも相手にされませんでした。地味ですが、ときどきおもしろいニュアンスを漂わせます。ベタなことをやらされたり言わされたりしているのですがそこにドヤ感がまったくなく、むしろ遠慮気味なくらい。この消え入るような地味さがいいんですよね。
塩山誠司さんは輪島言葉指導も兼務しています。一緒に芝居をすることで言葉指導がしやすそう。このキャスティングは良いですね。応援しております。
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))