ソフトバンク・工藤公康監督【写真:編集部】

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圧倒的な強さ見せるホークス、中継ぎ陣の登板数に異変が…

 独走態勢の裏で、ちょっとした珍事が起きている。1日終了時点で2位・日本ハムに7・5ゲーム差をつけて首位を走るソフトバンク。1日の西武戦(西武プリンス)に勝利し、工藤公康監督が目標にする「カード勝ち越し」を決めた。

 これで、交流戦終了後、全12カード連続で負け越しなし。うち10カードで勝ち越し、貯金は29まで膨れ上がった。とにかく強い、というしかないのだが、強すぎるが故に、ある悩ましい問題が出てきている。

 ここにきて、中継ぎの登板数に偏りが出てきているのだ。オールスターが終わり、後半戦に入って9試合を8勝1敗。好調なチームのおかげか、守護神のデニス・サファテ、セットアッパーの五十嵐亮太は6試合、7回を担う森唯斗は4試合に登板している。その一方で、左キラーの森福允彦は2試合。ロングリリーフ要員の二保旭、飯田優也、巽真吾の3人はそれぞれ、わずか1試合しか投げていない。

 7月26日のオリックス戦(ヤフオクD)で延長11回にマウンドに上がった巽は、これが今季初登板だった。7月9日に出場選手登録をされてから、18日目、10試合目にして、ようやく登板機会が巡ってきた。

僅差の試合が多いホークス

 開幕1軍の座をつかみ、前半戦に中継ぎだけで5勝を挙げてチームに貢献していた二保は、7月29日の楽天戦(盛岡)が後半戦初登板。6点リードの8回に上がったマウンドは、中16日の間隔が空いていた。7月20日に1軍再昇格を果たした飯田も盛岡での楽天戦が今季初登板。ファームでの登板から中16日でのマウンドだった。

 とにかく、勝っても負けても接戦、僅差の試合が多い。7月は13勝4敗だったのだが、3点差以内の勝利が10試合もあり、4点差が1試合(28日の楽天戦)、5点差が1試合(12日のロッテ戦)、そして7点差が1試合(同29日の楽天戦)だった。

 負けた試合では1点差が2試合あり、4点差が1試合、7点差が1試合。4点差だった26日のオリックス戦(ヤフオクD)は同点の延長11回に4点を奪われ、7点差だった1日の西武戦(ヤフオクD)も3対6で迎えた9回に4点を失ったゲーム。競った展開だったことが分かる。

 リードを奪っていればもちろん、同点といった試合展開であれば、勝ちパターンの投手から投入していくのが定石である。7月でいえば、五十嵐が10試合、サファテと森は8試合に投げた。森福は4試合、二保は3試合、7月12日に登録を抹消された嘉弥真が2試合、巽、飯田は1試合。優勝した昨季の7月は14勝9敗。サファテが10試合、五十嵐が13試合に投げている一方で、森福とロング要員だった柳瀬も8試合、嘉弥真は6試合に投げていた。

光る先発陣の奮闘、首脳陣も注意を払う「勝利の方程式」の疲労度

 今季の先発投手の奮闘ぶりも要因にある。7月の17試合で5回持たずにKOされたのは、7月5日のオリックス戦(ほっともっと)の中田賢一(4回1/3で6失点)だけ。7月14日の日本ハム戦(帯広)の武田(6回途中3失点)と同15日の同戦のバンデンハーク(5回3失点)を除く残り14試合で、先発が6回以上を投げている。

 序盤で試合が壊れることがほとんどなく、ロングリリーフが必要となることがなかった。かつ、接戦での勝ちゲームばかりとなれば、勝利の方程式に登板が偏るのも、仕方のないことなのだが……。

 ここで危惧されるのは、鉄壁の勝利の方程式が、登板過多による疲労で調子を落とすこと。そこに関して、工藤監督とピッチングスタッフは細心の注意を払っている。連投が続けば、ブルペン入りすらもさせない休日を作るなど、疲労が溜まらないようにしている。リリーフ陣の登板数の平均化も考慮しているという。

 ここから、ペナントレースは連戦が続く。特に9、10月のソフトバンクは6、6、9、7連戦とハードな日程が組まれている。勝ちまくるのはうれしい限りなのだが、圧倒的な強さの裏に潜む影が、どう出るか。勝負の終盤戦へと突入する。