これは盛り上がる!

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カルト歌謡曲の定番


畑中葉子……と聞いて、オッと思うのは40代以上の男性かもしれない。
1978年にデビュー曲の平尾昌晃とのデュエット「カナダからの手紙」が大ヒット、タヌキ顔の愛らしいルックスと可憐な歌声で清純派歌手としてブレイクし、この年のNHK紅白歌合戦にも出場した。
ところがデビューしてわずか2年後の1980年、突然にっかつロマンポルノの女優に転身し、世間を騒然とさせる。当然のごとく主演作は次々と大ヒット。miwaちゃんやMay J.が再来年AVに転身するところを想像すれば、当時の世の中が受けたインパクトが少し理解できるだろう。
セクシー路線に転身してからも音楽活動は継続し、「後から前から」「もっと動いて」などをリリース。特に「後から前から」は、あからさますぎるタイトルと「後ろから前から どうぞ」というストレートな歌詞、そして一度聴いただけで耳から離れないキャッチーなメロディーが大きな支持を受けた。みうらじゅん、玉袋筋太郎、遠藤賢司ら各界の名士たちも「後から前から」の大ファンだ。
その後、畑中葉子自身は長きにわたる活動休止期間に突入するが、「後から前から」はカルト歌謡曲の定番として君臨し続けた。

そんな畑中葉子がここ数年、アグレッシブに活動している。
2010年に活動再開後、ツイッターを起点にさまざまな文化人・アーティストらと交流を深めつつ、自らのイベントを開催。昨年発売した「後から前からTシャツ」はフロントに「後から」、バックに「前から」とデカデカと描かれたインパクト抜群の一品で、発表直後からインターネットで大きな話題を呼び、限定200枚が完売した。今では3デザイン5パターンが発売されている。
この頃、テレビ『アウト×デラックス』にも出演、玉袋と共演した『5時に夢中』では「後から前から」も披露した。
「後から前から」「もっと動いて」のほか、ビートたけしとエロ会話を繰り広げる「丸の内ストーリー」、セクシーな吐息がえんえんと続くレア・グルーヴ「モア・セクシー」などを収録したベスト盤『GOLDEN☆BEST』は5000枚を売り上げるスマッシュヒット。昨年には集大成的な4枚組CD「後から前からBOX」もリリースし、ディスクユニオンの週間チャートにて1位を獲得している。
現在もコンスタントにライブ活動を行い、先日は畑中を敬愛する地下セクシーアイドル、ベッド・インとの共演も果たした。フットワークの軽さと人生経験に裏打ちされた懐の深さが持ち味だ。

「後から前から〜」「どうぞ!」のコール&レスポンスで場内熱狂のイベント


そして海の日の7月20日、畑中葉子のトークイベント「畑中葉子プロデュース 後から前からTシャツ祭り」が、お台場の東京カルチャーカルチャーにて開催された。いわばここ数年続いてきたプチ「後から前から」ブームの総決算的なイベントだ。会場には「後から前から」Tシャツを着込んだファンが集合。以前からのおじさまファンだけでなく、昨今の活動を通してファンになった若い女性の姿も目立った。

ステージには畑中葉子のほか、生姜の形のはずなのになんだかムズムズした気持ちになる“岩下の新生姜ペンライト”が話題を呼んでいる岩下食品社長の岩下和了氏、ベスト盤制作をプッシュした音楽マーケッターの臼井孝氏、イベントプロデューサーのテリー植田氏ら、畑中葉子サポーターが集合。縦横にトークが展開された。
トークの中では、かつて発売された写真集が「着衣8割、ヌード2割」という約束だったのに、実は「着衣2割、ヌード8割」だったから「あの写真集は大っ嫌い。だから、ふてくされて写っている」(畑中)などという芸能裏話も飛び出して場内は盛り上がる。

後半はステージでのライブ。シングル曲「ロミオとジュリエット79」、ロマンポルノ『愛の白昼夢』の主題歌「夢まくら」、https://youtu.be/VTIfz1PAk7Uセクシー路線の「癖になりそう…」、「もっと動いて」などを続けて歌い、変わらぬ美声を披露した。
動画→歌ってます!

クライマックスはもちろん「後から前から」。「♪後から前から〜」「♪どうぞ!」というコール&レスポンスで岩下の新生姜ペンライトを振りまくるファンたちの熱狂もピークに達した。

「畑中さんの魅力は意外性。清純派でデビューしたかと思えば、いきなりセクシー路線になり、かと思えば30年の時を超えて我々の前に現れてくれる。お会いすると、とてもきちんとした方なのにちゃんと色っぽいところも意外性。これからどんな意外な活動を見せてくれるのか楽しみにしています」
こう語るのは、ファン歴37年という伊勢うどん大使でコラムニストの石原壮一郎氏だ。

畑中自身によると「Tシャツをはじめ、たくさん盛り上げてくれた『後から前から』ですが、今日を一つの区切りにして、これからはライブ活動に力を入れていきます」とのこと。
今後、さらにパワーアップした畑中葉子の歌声があちこちの街で響くことになりそうだ。
(大山くまお)