連続テレビ小説「まれ」オリジナルサウンドトラック2 音楽 澤野弘之 SMR
7月15日発売予定

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朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)7月11日(土)放送 第15週「下克上駄菓子ケーキ」第90話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:渡辺一貴

徹(大泉洋)の再プロポーズ問題と榊原(船越英一郎)の離婚問題。
能登と東京で、ふたりの男が夫婦の危機に向き合う90話。
いつものごとく、あっさり解決して、もう、心配して損しちゃった〜、コラ! プンプン! てな感じです。

徹のほうは、ついにつくった自分の会社の名前「アット・マイ・ドリーム」に、家族の名前を盛り込んであるという、男を上げることをしたうえに、藍子(常盤貴子)がじつは離婚届けを出してなかったので、「じゃあ・・夫婦だったの? 俺たちずっと家族だったの? 俺もずっと・・・。」と大きな驚きと喜びを味わいます。

榊原のほうは、離婚届はドッキリ企画、しかも妻(藤田朋子)の妹夫婦のものだったという、ほんとにがくっとなる結末でしたが、まあ、夫婦円満でなにより。

「まれ」で描かれる問題は、一時はどうしようかと深刻になったものの、心配無用だったね、とあとで笑顔になれるものばかり。なるべくあとに引きずらないエピソードを心がけているのかもしれませんね。

こうして、すべてまるっと収まるとこに収まった90話は、大悟(小日向文世)の師匠だったロベール幸枝(草笛光子)の含蓄ある名言がたくさん出てきました。

そこで、幸枝スペシャル


「駄目駄目。あなたは あなたがおいしいと思うものを食べなさい。
同じものをおいしいと思えなくたっていいのよ。
相手が喜ぶ気持ちが分かればいいの。ねっ。」

「みんな甘いわね。本当の老いぼれは 細かい細工は見えないし
手は動かないし 味が落ちるどころじゃないわ。
でも老いる頃には 引き継いでくれる子が現れてる。
それが職人の救いね。」

「でも全ての人を喜ばせる事はできないわ。
だからこそ 自分がどういうお菓子を目指すのか それをちゃんと決めなきゃいけない。迷いながらでいいのよ。でもいつかきっとどういうパティシエになるのか決める時が来る。」

とくに「同じものをおいしいと思えなくたっていいのよ。相手が喜ぶ気持ちが分かればいいの。」は、他者とコミュニケーションをとるうえですごく大事な気がします。趣味志向は人それぞれ、これを心がけていきたいものです(まじめ)。

今日の、やっぱりこっちが名言


「どんだけトラップ仕掛けてんのよ もう!」(徹)
緊張の再プロポーズの前に、文(田中裕子)にからかわれて。

今日の、名場面


会社の名前に津村家の家族の頭文字を盛り込んでいるのを知ったみのり(門脇麦)が「嫁は家族じゃないがんげ さみしいわ〜」と嫌み。「さみしいわ〜」の、ややおばちゃん化した言い方が、門脇麦の才能を感じさせます。門脇だからこそ、憎可愛(にくかわい)く見えるのでしょう。

今日の、表情対決


文役の田中裕子と幸枝役の草笛光子。ふたりの含みのある表情が、言葉なくても気持ちを伝えてきます。すごい描写力。
草笛光子は正確には89回のこと。「食べてくれる人を笑顔」とか「お客さんを喜ばせたい」とか言ったことを大悟に否定された話を希から聞いたときの表情が90話に生きました。
田中裕子は、離婚届けを出してなかった藍子の思いを唯一知っていたので、ひとりにんまりしていて・・・。
すばらしいベテラン女優陣。ゆくゆくこのふたりのような女優になれそうな気がするのは、「さみしいわ〜」の嫌みな言い方に嫁の屈折とユーモアを感じさせた門脇麦かな。
(木俣冬)

エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから

いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))