二体で最強のバディ、「うしおととら」が90年台の空気そのままに戻ってきた!
(公式サイトより)

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よもや四半世紀も昔の作品がここにきてアニメ化されるとは思わなかった。作者の藤田和日郎も、「洗濯物のGパンから千円札が出てきた」かのような感覚、と対談で語るほど。。
一回OVAになったのでTVアニメ化も何度も期待されました。でももう無理だねーと思ったら、今ですよ今。
『うしおととら』が、蔵の封印を解かれて、ついにアニメ化だ!

垢抜けないからいいんだぜ


藤田和日郎の絵は、強弱の強い線で、ゴリゴリと荒々しいタッチで描かれます。
アニメではあの線は再現できません。
どこに落とし込んだかというと、90年台によく使われていたアニメ絵。

90年台アニメは、頬の線や鼻の影がシャカシャカと入っていました。
近年のアニメはシンプルかつかっこよくまとめるために、省略されるようになった表現です。

これを、あえて復活させた。ヒロインの真由子や麻子の頬にも必ず線が入っています。
何よりうしお。ぶっとい眉毛に、鼻には濃すぎる影。頬は特に、多すぎるくらい線が入っている。

もう一つ。比較的黒目が小さい。
00年台以降、白目に対し黒目は大きいほうが可愛く・かっこよく見えるため、黒目比率が大きい作品が増えました。
うしおはわかりやすく、今のアニメと比べて小さく、ぎょろっとした目をしています(三白眼ではないのがミソ)。
うしおの家にノートを取りに来た麻子と真由子の黒目の描き方も、白目部分がはっきり大きい。

アニメーションはもちろん、すべてデジタル。妖怪やエフェクトには3Dをフル活用。技術は最新のものです。
垢抜けないけど「古臭い絵」ではない。「90年代藤田和日郎絵のかっこよさ」の普遍性を引き出すことに尽力しています。
原作にはなかった、90年代調の町並みと学校の描写が入ることで、「うしとら」の世界観が深まります。

全編を描くための取捨選択は作者本人


3クールでラストまで、「うしおととら」全編を全て描ききります。
エピソードは全部藤田和日郎が選択。めちゃくちゃ張り切っていて、シリーズ構成にも名を連ねているので、これは安心。

「無駄なんだけど、これがないと『うしとら』じゃないよ!」って部分、あります。
例えば真由子の胸のあたりを触って魚妖を追い払うシーン。見えていないので、麻子にはハイキックをくらいます。
その後の真由子の一言「いいのに」。
マンガでは手書き文字の、あってもなくてもいい、オマケのセリフ。

『うしおととら』手書き文字を利用した遊びが多いです。内容は研ぎ澄ますけど、遊びの部分はちゃんと再現しますよ、と約束してくれたわけよ。
しっかりとこの耳で、真由子の「いいのに」を聞けるなんて……。25年待ってよかった!
基本は初見で楽しめる作り。マンガをしっかり読み込んでる派が満足できるネタは、随所にあります。

『うしおととら』で一番重要なもの


一話はコミックスの「序章」部分うしおと、とらの二人の関係をとことん大事にしています。
最初に会って画面の端と端で、うしおがとらを恐れているシーン。
「とら」こと長飛丸は、妖怪たちが恐れる存在で、強い。
闇の中がらボオッと浮かび上がる、原作の再現はばっちり。

とらがうしおに刺さった獣の槍をぐりぐりするシーンは、今後の「とら」のかわいらしい部分を予感させるに十分。リアル顔に戻っても、痛くて鼻水垂らしています。そりゃ真由子もテリヤキバーガー食べさせるよね。
とらの演技が実に無邪気でいい。命の意味がわかっておらず、純粋に「食ってやる」と言っている。

「隙があったら最初にわしが食ってやる」というとら。「ならばお前を獣の槍で倒してやる」といううしお。
一方で、お互いの背中を預け、全幅の信頼を抱くように、今後なっていく。
「二体で一体の妖」になる二人の関係は、OPで一目瞭然。
筋肉少女帯の曲のとおりだ、混ぜるな危険! 満点!

いや、満点じゃない。一つだけ不満がある。
原作では、女子の体操服はブルマでした。
アニメでは、短パンなんだよ。
どこだ……ブルマを短パンに変えた妖怪はどこだ……!
お願いですから、関守日輪のスカートから見える生脚は再現されますように。
(たまごまご)