連続テレビ小説「まれ」オリジナルサウンドトラック2 音楽 澤野弘之 SMR
7月15日発売予定

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朝ドラ「まれ」((NHK月〜土 朝8時〜)7月8日(水)放送 第15週「下克上駄菓子ケーキ」第87話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:渡辺一貴

87話も引き続き、大悟(小日向文世)の衰え問題と、一子(清水富美加)のお仕事問題が描かれますが、どちらも深刻なはずのふたつの印象はまんで違います。
大悟のほうは、モノマネまで持ち込んで、やや真剣さに欠けているのに対して、一子のほうは、とうとう洋一郎(高畑裕太)が株を上げました。

洋一郎スペシャル


「なして何者にかならな駄目ねん!」
キャバ嬢に身を落としてしまった一子が、何者にもなってないから能登に帰れないと突っ張ることに対して。これは真理ですねー。

「思ってもおらん悪口 言うなま!」
漁業をしている洋一郎をバカにしたような言い方をする一子に。屈折した一子の性格を理解しています。

「ああ〜! 駄目や! こんな一子は駄目や〜!」
一子がキスしようとしてきて一瞬心が揺れ動きながらも、押し留まる男の純情。

実直。「まれ」の良心というか、「まれ」の世界では絶滅危惧種的存在の洋一郎。
額に(仮)の文字、Tシャツは「鰹」の文字で完全に道化の役割で、82話では、みのりに「ごめんえ 何を応援すればいいか 分からんげ。」と同級生のなかでひとりだけ応援してもらえなかった哀しい存在でありながら、それを全身全霊で引き受けているところに深い切実さを感じさせます。いろんなドラマにひっぱりだこの女優・高畑淳子の息子さんで、彼女の徹底的に明るいエネルギーの発し方に似たものがあります。

それに比べて、弥生(福田彩乃)はなんだ。モノマネで対抗する徹(大泉洋)に「モノマネなめないで下さい!」なんて言っちゃって、ケーキづくりもなめないでください、ですよ。みんなの輪に加わっている間に、何万回の練習をしていたら好感もてるのに。
念のため、弥生というキャラがそうなだけで、福田彩乃はモノマネの仕事を徹底的に突き詰めていて、今回は、俳優として軸のない女の子の役をしっかり演じていると思います。

そして、希(土屋太鳳)。あんなふうに、みんながいる前で、いきなり大悟に、
「腕が落ちたのでは」なんて指摘するなんて。
「裸の王様でおる方や 職人には よっぽどつれえさけな。」という圭太(山崎賢人/崎の大は立)の考えもその通りとは思いますが。もう少し、言うタイミングや言い方を考えたほうがいいと、テレビの前の誰もが思ったことでしょう。
希も弥生もわざとへんなことして、SNSでツッコませようという狙いなのかなと最近は思うようになりました。こうして、まんまとツッコんでます。ああ〜! 駄目や!
(木俣冬)

エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから

いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))