連続テレビ小説「まれ」オリジナルサウンドトラック2 音楽 澤野弘之 SMR
7月15日発売予定

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朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)7月4日(土)放送 第14週「絶対絶命メッセージプレート」第84話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:一木正恵

希「絶対に諦めないって決めました。」「もう辞めましょうよ諦めるのは。」
弥生「はい・・・と言いたいところですが、冷静に考えて、あと一時間で、9万9465回練習するのは無理だと思うんです〜。」

なんだこの会話・・・。ああ、陶子(柊子)がいてくれたら、きっと小気味よくツッコんでくれたでしょうに・・・。
希(土屋太鳳)をスーシェフに出世させるためには陶子をいなくさせるしかないというストーリー進行上の事情のせいで、「まれ」はもはや、誰も冷静に状況を説明する役割のひとがおりません。
この世界はいまや、愛と夢と根性ですべてを乗り切る御都合主義ヒロインが完全勝者の世界となったのです。
無敵の希は、
「うちには圭太や絶対に必要やって。パティシエは辞められません。ほんでも・・・家族として 絶対に圭太さんをっちゃ支えます!」と結婚宣言。

愛する圭太(山崎賢人/崎の大は立)は、親方の顔を立て見合いした相手に、変態のふりして嫌われてきたと言う。シャツをはだけて走る姿がかっこよかったですが、取引先のお嬢さんでしたよね、確か・・・? 最初から見合いしないほうがまだましなのでは・・・。

希も圭太も若気の至りといえばそうですけども、このドラマを見て、結婚したいと思うようになるひと、いるんでしょうか。

また、弥生(福田彩乃)を見て、不器用でも情熱をもって何かに取り組もうと思うひとは、現れるでしょうか。

朝ドラヒロインという絶対的な権威


「まれ」を見ていると、世間的にへんと思われているひとにだって存在意義があるとは思えず、むしろ、笑いをとろうとして無理にズレたひとにしている感じがするのです。
すてきな笑いとは、ズレてると思われているひとを笑うことで存在価値を高めることなのだと思うのです。笑いで叩いていいのは権威でしょう。あ、そーかそーか、希ちゃんは、朝ドラヒロインという絶対的な権威ってことなのかしら。

今日の、小姑ツッコミ


「(遠距離結婚に対して)だってさ、おれと藍子がそうだもん。
 もう3年 横浜と能登で、顔も見れないし 声も聞けないけどさ
おれは全然気持ち変わらないから。
心さえつながってりゃ 遠くたって。
まあそりゃいろいろあると思うけどさ
絶対乗り越えられる。」(徹〈大泉洋〉)

徹は、仕事は長続きしないけれど、藍子(常盤貴子)への愛情だけは長続きしているんですねー。
これまで長続きしなかった仕事もようやく軌道に乗ってきているようですし、なにかと言いことを言い、希のことも助けてくれる(84話ではレンタカーで希を能登に連れていってくれた)順調な徹ですが、そのがんばりや変化の具体的な描写がまったくされていません。ベンチャー企業に勤務しているならもっとたくさん働かなくちゃいけなくて、けっこう心身ともに疲れるんじゃないのかなあ。貯金とかもちゃんとしてるのか気になります。

今日の、勝手に名言


「2年間まったく隙なかったもんね」
「こういうのは話が煮詰まってからが勝負だからね。」(大輔〈柳楽優弥〉)

大輔、まだ諦めてなかったのか!
こうなったら、ヒール化してもいいから、お花畑の希と圭太を邪魔してほしいと祈りつつ、15週へ。
(木俣冬)

エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから

いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))