発表された新テラスハウスのイメージ映像

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フジテレビが、2015年秋に日本上陸予定の動画配信大手Netflix(ネットフリックス)に向け、オリジナルコンテンツをテレビ放送に先駆けて配信すると発表した。

ネットの登場で「若者のテレビ離れ」が進んでいるといわれる中、テレビ局がコンテンツをネットで先行配信するのは、自ら視聴者をテレビから遠ざけることにならないのか。その意図が6月17日の記者会見で明かされた。

ゲームやSNSで「可処分時間の奪い合い」



フジテレビがNetflixで独占先行配信するのは、「テラスハウス」の新作「TERRACE HOUSE NEW SEASON COMING」(仮)と、連続ドラマ「アンダーウェア」の2作だ。「テラスハウス」はシェアハウスに暮らす男女6人の生活を記録した人気番組。新作では世界中から新たな住人を募集する。「アンダーウェア」は高級下着メーカーに就職した女性の「お仕事系青春小説」ドラマで、「リッチマン、プアウーマン」「失恋ショコラティエ」の脚本家が手がける。

記者会見に登壇したフジテレビの常務取締役・大多亮氏によると、地上波番組同じ程度の制作費をかけるといい、かなり力を入れていくことがわかる。だが、テレビ局が番組供給の場をネットに移すのは、ユーザーの「テレビ離れ」をさらに進めてしまう可能性があるのではないか。こうした点に対する報道陣からの質問に、大多氏は以下のように答えた。

「こういうことをやっていかないと、さらに若者のテレビ離れが進むと思っています。ゲームやSNSなどが登場し、可処分時間の奪い合いという状況の中で、大事なのはフジテレビだけでなくテレビ局が作った番組、もしくはそこから生み出されたものに触れていただかないと何も始まらないということです」

Netflixでテラスハウスに触れ、地上波でも見てもらえばいいという考えで、
「放送前にネット配信するから『テレビを見てもらえないじゃないか』と言っていると、いつまでたってもテレビは取り残されていくという危機感」があるという。

若者を中心に動画の視聴環境がスマホやタブレットに移っていることを挙げ、今後は5分や15分といった短い番組を作るなどの柔軟性がなければ、「テレビが廃れていってしまうのではないか」と語った。

Netflix向けコンテンツの著作権はフジテレビが持ち、先行配信後は地上波に加えて、BS、CS、「フジテレビオンデマンド」で視聴できるようになる予定。
Netflixの具体的なサービス開始日程や、サービス価格は発表されなかった。
(小島カズヒロ)