中国メディアの環球網は16日、英フィナンシャルタイムズの報道を引用し、中国が世界の原子力産業をリードするべく歩みを前に進めていると伝える一方、「その技術力には今なお疑いの目が向けられている」と論じた。(写真は環球網の16日付報道の画面キャプチャ)

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 中国メディアの環球網は16日、英フィナンシャルタイムズの報道を引用し、中国が世界の原子力産業をリードするべく歩みを前に進めていると伝える一方、「その技術力には今なお疑いの目が向けられている」と論じた。

 記事は、アルゼンチンがこのほど原子炉「華竜1号」を含めた中国の原子炉を導入すると発表したことを紹介し、「中国の原子力産業が短期間で急速に成長していることの証」だと論じた。

 さらに、中国は原子力産業においては「あくまでも後発組」であるとし、中国で原発による送電が始まったのは1991年だったとする一方、「今や中国は世界に原子力発電に関する技術を輸出するうえでのリーダーになろうとしている」と論じた。

 続けて、中国の原発関連企業は買収を通じて得た知的財産権をもとに輸出用製品の開発を行っていると伝え、西側の企業も技術や経験を利益と交換することを望んでいるようだと指摘。また、中国は西側の原発関連企業との競争において、相手国に低利息の融資といった好条件を提示することで競争を優位に進めていると論じた。

 また、中国がアルゼンチンやパキスタンに原発を輸出するだけでは「市場のリーダーになったとは言えない」としつつも、中国が将来的に原発という戦略産業における主役に躍り出る可能性は十分にあると主張した。

 一方で記事は、中国が原子力産業で世界的なリーダーの地位を獲得する前に立ちはだかる大問題として「技術力」を挙げ、「技術移転を基に原子力産業を発展させるという中国の戦略は成功した」としながらも、国際的な信用を得るには技術の検証が求められると論じた。(編集担当:村山健二)(写真は環球網の16日付報道の画面キャプチャ)