ハリルホジッチ監督

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14日、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はJリーグ実行委員会の席で代表選手の体脂肪率が書かれた表を掲げ、選手の肉体改善を求めた。ところが、監督の指摘には問題がある。拠り所にした体脂肪率の数字だ。この数値を元に改善を求めても説得力はない。

リストには選手の名前、体脂肪率などが書かれ、率が高いとされる選手には赤、やや高いとされる選手には黄色いマーカーが引かれていた。だが、よく見ると測定日や計測方法が書かれている。

測定は3月24日または25日に行われていた。これはチュニジア戦の前に大分で集合した後の日付だ。測定法は「インピーダンス」。体重計に乗り、バーを手に持って微弱電流を流し、抵抗値によって体脂肪率を測定する。

だがこの方法だと、測定したときの体の中の水分量や体温などで数字が違ってくる。あくまで誤差が生まれる測定に過ぎない。また、一部の選手は別の機会に測っている数字と計測方法も書いてあるが、そこにあるのは「キャリパー」。これは体の一部をつまんで厚みを計測し、そこから体全体の脂肪量を推測する。つまりこれも誤差の出る測定法だ。

元日本サッカー協会科学研究委員会の委員長で、現在は浦和スポーツクラブ理事長の戸苅晴彦氏は言う。
「今の器具は昔よりも精度が高くなってきました。ですが慣れた同じ人がいつも測定するという方法でやらなければいけない。西が丘にある国立スポーツ科学センターなどだったら、かなり正確に測ってくれたでしょう」

だがどうやら今回は大分での簡易測定のようだ。
「小数点以下の数字を気にするような正確な測定は、プールに沈んで息を吐き出し、そこで量った体重と陸上との体重の差から計測する方法になります。ですが、これは特別な施設が必要だし、時間もかかる」(戸苅氏)

「今回の数字がどうかと言うより、西が丘などで同じように同じ人ができるだけ正確に計り、その上下を見たほうがいい」と戸苅氏は言う。ハリルホジッチ監督は公表するつもりがなかったと15日に謝罪したが、公表したことよりも、今回は簡易測定の数字をもとに選手を判断しようとしたことが問題であろう。

【日本蹴球合同会社/森雅史】