30日、「人権の法制度を提言する市民会議」結成総会であいさつする江田五月・参議院議員(撮影:佐谷恭)

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人権の法制度について、差別や人権侵害を受ける側からの視点で政策提言することを目指す「人権の法制度を提言する市民会議」(通称・人権市民会議)の結成総会が30日、東京都千代田区の憲政記念館で開かれた。

 同会議は、障害者や外国人、被差別部落などへのさまざまな差別撤廃に取り組む団体や個人が、互いの活動を尊重しながらゆるやかにネットワーク化した組織。基本的視点として、◆人権侵害や差別の実情を踏まえたマイノリティー当事者の視点◆人権と平和の密接な関係を重視し、憲法や日本が批准している人権諸条約に規定されている人権を掘り下げ、発展させるという視点◆アジア・太平洋地域の市民との意見交換と協働を重視する視点◆21世紀における他民族・多文化の共生社会と人権文化の創造という視点―を挙げている。2006年12月の人権週間(4−10日)に「人権の法制度全体構想」の最終提言をまとめ、公表する。

 代表世話人の1人である反差別国際運動日本委員会の武者小路公秀理事長は「人権への取り組みは(反戦ならぬ)帆船のようなもの。帆船は風がないと進まないが、逆風を利用して進むことができる。人権には今、逆風が吹き荒れており難しい船出だが、帆をうまく動かし、逆風をどう利用していくかにかかっている」とあいさつした。

 民主党で人権侵害救済法に関するプロジェクトチームの座長を務める江田五月・参議院議員は「先日、(反戦ならぬ)ハンセン病の胎児標本問題で当事者の話を聞く機会があったが、聞く方が当事者に共感の気持ちを持たないと、きちんと聞けないと知った。そういう用意ができるかどうかが、21世紀が“人権の世紀”と呼べるかどうかの鍵だ」と語った。【了】

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