「黙々の栄作」と言われ、余計なことは一切しゃべらずで徹底した慎重姿勢が持ち味だった佐藤栄作に対し、寛子夫人は陽気な性格、社交上手のいわゆる“キャピキャピ・ガール”であった。結婚生活50年の長きで、性格の違う凸凹夫婦のほうがむしろ“息が長い”ことを証明した。一方で、夫に対し世の風がどちらのほうに吹いているかなど、その直感力、政治感覚の鋭さは、寛子夫人の周囲の多くが認め、「栄作のそれを遥かに上回った」