「どうやってアオキを打ち取るのか」

 ロイヤルズ青木宣親外野手が、球団公式サイトでヤンキースのイチロー外野手にたとえられるなど、絶賛されている。17日(日本時間18日)のホワイトソックス戦でリーグ最強左腕のクリス・セールを見事に攻略し、4打数3安打1四球と活躍して勝利に大きく貢献。「3連戦で11安打」の球団新記録を樹立した。

 球団公式サイトの記事では、「コンドル」の異名を持つセールを攻略したロイヤルズ打線を称賛。1点ビハインドの3回にケインの3ランで逆転した場面について「ロイヤルズファンは、セールが1点差を守り抜くだろうとナーバスになっていた。だが、エスコバーと現在燃え上がっているノリ・アオキが放った3回1死からの連打、ケインの一振りがセールの夜を台無しにした」と記している。

 さらに、絶好調の青木には、最大級の賛辞が送られた。

 この日の3安打は、すべてセールから放ったもの。左打者に対して通算被打率1割9分1厘と圧倒的な強さを誇るセールのペースを乱し、5回9安打5失点でKOした。

 シーズン最後の4連戦(25〜28日)は敵地で再びホワイトソックスとの対戦が控えているとあって「ホワイトソックスはどうやってアオキを打ち取るのか、その答えを探さなければいけない。イチロー・スズキの全盛期のように“スラップ&ダッシュスタイル”の打撃を誇る」と言及。バットを振りながら走り出し、一塁にあっという間に到達するスピード溢れるプレーを、米国殿堂入りが確実視される日本が生んだ史上最高のヒットメーカーにたとえている。

イチローも難敵と認める左腕を攻略した青木

 実は、セールはそのイチロー自身も難敵と認める投手だ。

 イチローはセールから左打者として約1年ぶりに打点を記録した8月24日の試合後、「色んな駆け引きがありますよ、あのピッチャーとは。特に左バッターだと」とコメントしている。

「セールはメジャーで最も角度を使って投げてくる左投手か?」との問いには「それは多分、アルゼンチンのサッカーファンが見ても分かるんじゃないっすか」として、左打者にとって攻略がいかに難しい相手であるかを明かしていた。それだけに、この日の青木が大仕事をやってのけたことが分かる。

 記事でも「アオキは本来、左打者には悪夢のような存在であるセールから3安打を記録している」と触れられており、リーグ最強左腕を攻略したことに大きな価値があるとしている。

最強左腕セールも脱帽「打撃教室のようだった」

「彼は速い。打ってからのアクションが素早い。今回のシリーズで彼のプレーを見ていると、打撃教室のようだった。とんでもない連戦だったね」

 そう脱帽するセールのコメントも紹介されている。

 セールは、この日までの6試合で防御率1・54を記録。最近調子を崩してきたマリナーズの「キング」ことフェリックス・ヘルナンデス投手が本命視されていたサイ・ヤング賞のダークホースに浮上してきた。

 しかし、リーグ最高だった防御率(1・99)は、試合後に2・20にまで悪化。キングの2・14の後塵を拝することになった。ホワイトソックスのロビン・ベンチュラ監督も「こんなことが起きるなんてショックだ。彼も人間だということを証明してしまったが、また巻き返してくれると思う。今日は単に彼の夜ではなかったこと」と信じられない様子で話したという。

 地区首位タイガースが敗れ、ゲーム差が0・5に詰まったこともあり、球団公式サイトは「ロイヤルズのプレーオフ進出に向けたチャージを加速させた」と興奮気味に伝えている。

 青木を中心に難敵を攻略したロイヤルズが、1985年以来となる29年ぶりの地区優勝に向けてさらに勢いを加速させた。