眼科医に聞く。カラーコンタクトレンズのトラブルを避けるには?「雑貨屋で買わない」

カラーコンタクトレンズ、通称「カラコン」の使用における目のトラブルのニュースをよく耳にします。

なぜトラブルが起こるのか、どうすれば予防することができるのかなど、カラーコンタクトレンズの最新事情について、眼科専門医でみさき眼科クリニック院長・石岡みさき先生に話を聞きました。

■カラーコンタクトレンズはメイクの一部だと認識されている

――カラーコンタクトレンズのトラブルのニュースが絶えません。なぜでしょうか?

石岡先生 度なしのカラーコンタクトレンズは2011年まで「雑貨」扱いで医師の診察を受けなくても購入することができました。しかしトラブルが続出したため、薬事法で規制される「高度管理医療機器」に指定され、2011年2月からは眼科医の処方なしで購入することはできなくなりました。

2009年の時点では厚生労働省の承認を受けたカラーコンタクトレンズは10品目以下しかなかったのですが、2013年1月には258品目にまで増えました。

――ある製薬会社が4月に行ったアンケートによると、「カラーコンタクトレンズを購入した中高生の57.0%が眼科を受診していない」と回答しています。医師の処方のないレンズをどこでどのように購入しているのでしょうか?

石岡先生 今でも雑貨屋で、高度管理医療機器に指定される前のカラーコンタクトレンズが売られています。また、海外からの輸入品を通販サイトで購入している人も多いようです。これらを利用する若い女性の目のトラブルはあとを絶ちません。

――女子中高生が買うときに重視する項目の1位が「色・デザイン」、2位が「安さ」となっています。指定外の製品は、彼女たちからするとそのどちらも満たしているということでしょう。実際に、どのようなトラブルが起こっていますか?

石岡先生 「レンズ自体が原因のトラブル」と、「ケアによるトラブル」の2つがあります。

レンズの質が悪いと、目に傷を作ったり、目のカーブにレンズがまったく合っていないために目に炎症を起こしたり。また、目に触れるレンズの内側に色素を付着するタイプでは、色素で目をこすって角膜に傷を作ったり、時に色素が目の中で溶け出すトラブルもあります。

ケアについては、「目に入れるもの」という意識が低い人が多く、1日使い捨てタイプを1週間使い続けたり、こすり洗いをしなかったりで細菌に感染するトラブルが多いです。

患者さんの中には、「カラーコンタクトレンズはメイクの一部だ」と言う若い女性がたくさんいます。すっぴんで人前に出られないのと同じ感覚だそうです。何度も目にトラブルが起こっても、「レンズを外すことができない」と言い張る人や、かなり痛みの出る症状でも適切な治療をすれば治るので、また同じレンズを使い続けてトラブルを繰り返す人もいます。

■医師の処方を受けて購入すれば安心

――購入時に注意するべきことはありますか?

石岡先生 高度管理医療機器として売られているカラーコンタクトレンズは、品質としては問題ありません。例えば、色素が角膜に付着するトラブルは起こりません。色素をレンズ素材でサンドイッチにするなど、角膜を傷つけないデザインになっているからです。また、眼科医の診察を受ければ、自分の目のカーブに合ったレンズを選ぶことができます。

色やデザインが気に入ったから、安いからという理由で粗悪なレンズを購入すると、あとあと目に重大なトラブルが起こる可能性があります。眼科医の処方を受けて、厚生労働省指定のレンズを購入するようにしましょう。承認を受けたカラーコンタクトレンズのパッケージには、「薬事法承認番号」が記載されています。

――使用する際の注意点を教えてください。

石岡先生 通常のコンタクトレンズと同様、使用上の注意点を守り、毎日ケアをすることが大切です。使用中に目の充血がひどい、目やにが出る、ゴロゴロするなどの症状が続く場合は、目に何かしらのトラブルが起こっている兆候なので、早めに眼科を受診してください。

――今後購入する際の参考にします。ありがとうございました。

カラーコンタクトレンズでおしゃれができるのも、まずは目の健康があってこそ。医師の処方を受け、高度管理医療機器として指定されたレンズを、使用上の注意を守りながら使いたいものです。

(尾越まり恵×ユンブル)

取材協力・監修:石岡みさき氏。眼科専門医。医学博士。みさき眼科クリニック院長。横浜市立大学医学部卒、平成5年よりアメリカ・ハーバード大学に留学、眼の免疫の研究に従事。帰国後、東京歯科大学市川総合病院にて角膜・前眼部疾患について学ぶ。平成10年両国眼科クリニック院長。平成20年、生まれ育った渋谷区代々木上原にて「みさき眼科クリニック」を開業。専門はドライアイ、眼のアレルギー。http://www.misaki-eye.com/