ノーランは、ノーヒッターを知っている。

彼の右に出るものはいない。

テキサス・レンジャーズのCEOノーラン・ライアンは、メジャーリーグ史上最多のノーヒッター(7度)を記録している。そして彼は歴史上の誰よりも(5度)、9回でノーヒッターを逃している 。

その歴史を踏まえてライアンは、火曜日夜のヒューストンでの試合でダルビッシュが9回のマウンドに上った時、完全試合になると本当に信じていたと認める。

「完全試合とノーヒッターの違いは、それが完全ではなかったということなんだ。何人かに四球を与えていると、9回には相手チーム打線の鍵になる選手と4度目の対戦になる」ライアンは言った。「彼らがヒットを打てる確率が、高くなるんだ」

「完全試合では代打が出ない限り、打線の下位と対戦する。そして事実、アストロズのベンチには左打者がいなかったから、ユウはいけるって思っていた」

彼は、それができなかった。

9回裏にジェイソン・カストロとカルロス・コーポランを内野ゴロで仕留めてツーアウトにした後、マーウィン・ゴンザレスがファストボールを打ち返し、それがダルビッシュの股間を抜けてセンター前ヒットになった。

「あの球は少しだけ高くて、ホームベースの上だった」ライアンは言った。彼はテキサス州ジョージタウンにある自宅のテレビで試合を観戦していた。「私は本当に、(ダルビッシュが)できると思っていた」

その代わりにダルビッシュは、9回ツーアウトから完全試合を逃した史上11人目の投手となった。MLBの公式記録では、23人が完全試合を達成している。

1961年に球団数が増えてから、9回ツーアウトでノーヒッターを逃したのは36回目となる。その年には、サンゼルス・エンゼルスと、後にテキサスに移ってレンジャーズとなるワシントン・セネターズが加わった。

9回にノーヒッターを5度逃したライアンの記録は、元トロントの投手デーブ・スティーブよりも一つ多い。彼は1988年9月24日のクリーブランドと、9月30日のボルチモア戦の2回連続で、9回ツーアウトまでヒットを与えていなかった。 チームとしてのトロントは1977年の球団創設以来、10人の投手が9回にノーヒッターを逃している。

レンジャーズは、完全試合を9回に取り逃がしたことが4度ある。ダルビッシュに加えて、チャーリー・ハフが1986年6月16日のエンゼルス戦で、そしてライアンは、'89年4月23日のトロントと、8月10日のデトロイトの2度、9回に打たれた。

ライアンはキャリアで5度、9回にノーヒッターを逃していが、そのすべてはワンアウトだった。彼が一番鮮明に覚えているのは、レンジャーズがデトロイトと対戦した時だ。タイガースの一塁手デーブ・バーグマンがワンアウトからシングルヒットを打った。

「バージーは、(ヒューストンで)チームメイトだったんだ」ライアンは言った。「彼を知っていた。彼にはファストボールが正解だったけど、理由があって、カーブボールを見せておく必要があった。私はそうしたんだけど、彼はそれをレフト側に打ち返したんだ」

そしてその後も、時に驚かされたのは仲間だった。

ライアンは1975年の6月1日のボルチモア戦で、ボビー・グリッチにカウント3−2からチェンジアップを投げて、キャリア4度目のノーヒッターを達成した。グリッチは、ボールがホームベースを通過すると同時にバットを落とし、頭を振った。

「ファストボールを待っていたんだ」グリッチは2年後にそう語った。その時の彼はエンゼルスで、ライアンとチームメイトだった。「彼は1対0でリードしていて、カウントは3-2。彼はカーブボールを投げてきた。僕はまったく予想していなかった」

ダルビッシュは、自分で多くのアウトを奪った。彼は最初に対戦した23人の打者のうち、14人を三振にとった。

ダルビッシュが9回まで完全試合を続けるのを助けたプレーが、5回に2つあった。先頭打者のクリス・カーターがレフト・センター間に打球を飛ばしたが、フェンス際でデビッド・マーフィーが掴んだ。次の打者リック・アンキールは、一塁手のミッチ・モアランドへゆるいライナーを飛ばしたが、モアランドはナイスプレーを見せた。

「レフト・センター間に飛んだボールがアウトになったことが、たぶん彼に良い影響を与えたんだと思う」ライアンは言った。「ああいったプレーは、普段でも一つや二つある。だけど最後の9つのアウトは、難しいんだ。全員がその試合で、2度か3度対戦しているから、彼らはなにが来るのかを知っている」

しかし時に、このような試合の終盤は、投手に有利になることもある、打者は2度か3度投球を見ていて、打つチャンスはないと感じているからだ。

ノーム・キャッシュは、1973年の7月15日のデトロイトで、ライアンの2度目のノーヒッターの最後の打者となったが、その前にユーモアを忘れなかった。キャッシュはバットの代わりに、机の脚をもって打席に入った。球審のロン・ルキアーノはキャシュに、なにをしているのかと尋ねた。

「バットでは打てない」ライアンは、キャッシュがルキアーノに話したことを思い出していた。「なにか問題でも?」

机の脚をバットに持ち替えたキャッシュがショートフライを打ち、ノーヒッターは達成された。 

参考記事: No-hit master Ryan: 'I thought Yu would get it' By Tracy Ringolsby MLB.com