黒龍江省ハルビン(哈爾濱)市郊外の方正県で3日午後3時半ごろ、同地で亡くなった満蒙開拓団員(日本人入植者)の名を刻んだ碑の一部が傷つけられ、赤ペンキがかけられた。同事件で、碑を襲撃した5人が警察官ともみ合いになり、身柄を拘束された。警察は5人を尋問した上で、午後8時40分ごろに釈放した。尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する中国の反日団体「中国民間保釣(尖閣防衛)聨合(連合)会」の公式サイトに「犯行現場からの報告」が掲載された。

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 黒龍江省ハルビン(哈爾濱)市郊外の方正県。で3日午後3時半ごろ、同地で亡くなった満蒙開拓団員(日本人入植者)の名を刻んだ碑の一部が傷つけられ、赤ペンキがかけられた。同事件で、碑を襲撃した5人が警察官ともみ合いになり、身柄を拘束された。警察は5人を尋問した上で、午後8時40分ごろに釈放した。尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する中国の反日団体「中国民間保釣(尖閣防衛)聨合(連合)会」の公式サイトに「犯行現場からの報告」が掲載された。

 8月1日付で掲載された、「碑設立」への抗議文の後に、赤い文字を使って、現地からの連絡にもとづくとみられる「報告」が掲載された。「報告」部分は以下の通り。

最新情報(8月3日15:06)。現在、中国民間保釣聨合会 保釣湘軍の志願者である五百、飛天燕子、韓忠、人間不公、梁智が、日本開拓団の碑を破壊中。すでにペンキをかけた。現場には警察官が大勢いる。(注:「志願者5人」の名は、いずれもハンドルネーム)

現場は混乱している。警察官はこちらをつかまえている。現場には100人近くの警察官がいる。志願者は警察官に両腕をねじられ、顔を押さえつけられ、強制連行された。

電話は通じなくなった。

5人は県公安局(県警察)で調書を取られている。

2011年8月3日21:37。5人の志願者は自由になった。現在、引き返す途中だ。

志願者「五百」によると(犯行)当時、現場には二十数台の警察車両があった。彼らはすでにマークされており、鉄条網を突破して中に入ると、すぐに警察官の阻止に遭遇した。警察官のうち何人かは「止まれ。止まらないと発砲する」と叫んだ。

5人は碑の前に殺到し、ペンキをかけてから石碑をたたき始めた。日本人開拓者の碑は、基本的に破壊された。

警察官は5人を捕まえた。その過程で、志願者5人は軽い傷を負った。カメラと携帯電話は奪い取られ、いずれも損傷を受けた。写真は消去された。

5人は方正県公安局に連行され、調書を取られた。その後、何の理由も告げられず、釈放された。5人は現在、帰途についている。

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◆解説◆ 中国の胡錦濤現政権は、江沢民前政権と異なり、「日本とはできるだけ協調したい」方針とされる。一方、反主流派になった江沢民派はこれまで、日本との問題が浮上した際に国民を煽(あお)ることで、政権に揺さぶりをかけたことがある。

 中国大陸の反日団体は厳しく監視・活動規制されているが、現在は高速鉄道の問題などで政府に対する批判が高まっている。中国民間保釣(尖閣防衛)聨合(連合)会は、当局の民衆に対する抑えが効きにくい状態であることを計算した上で、満蒙開拓団の碑への襲撃を実行した可能性がある。

 なお、中国民間保釣聨合会は「日本人開拓者の碑は、基本的に破壊された」と表明したが、中国メディアは「持っていた金づちで碑をたたいたが硬くて一部しか傷つけられず、持参した赤ペンキを碑の名簿部分にかけた」と伝えた。(編集担当:如月隼人)