ダルビッシュは歴史をつくっている|2011年NPBペナントレース

写真拡大 (全2枚)

ダルビッシュが今続けている連続無失点記録は、後年、2011年のNPBを象徴する出来事として記憶されることだろう。飛ばないボール統一球の導入された年、そしてセパ両リーグの格差が大きかった年の象徴として。0の羅列を見たかったので、こんな表にしてみた。

表1

この表を見てすぐに思い出したのは大正時代の大横綱太刀山峯右衛門の連勝記録だ。この横綱は大正2年から大正5年まで56連勝し、1敗の後さらに 43連勝している。この1敗さえなければ、100連勝だったのだが。ダルが継続中のこの記録、5/18の9回に武田久の救援を仰がなければ、5試合連続完封だったのだ。連続完封のNPB記録は43年巨人藤本英雄の「6」だから、次はNPB記録に並ぶ登板になったはずだ。

投球内容がどんどんよくなっていることもわかる。投球数が136球から前回の103球、今回の109球と減っているのだ。昨日の試合でも七分程度の力で投げているのではないかと感じられた。この間、味方の援護点(RS)はたった9点しかなかった。相手投手のERAも1.8という凄さ。しかし全く危なげはなかった。

ダルビッシュがすごいのは、序盤、中盤よりも終盤になって投球内容がよくなっていること。この5試合の結果をイニングごと、序盤、中盤、終盤ごとにまとめてみる。

表2

立ち上がりは相手を圧倒するために三振を取りに行くが、安打も打たれる。しかし終盤には、打たせて取る余裕の投球にシフトすることで、ほとんど安打も打たれていないのだ。こんな投球をされたら、打者は諦めざるを得ないだろう

昨日のNHKの放送で凄いことを言っていた。現在セの本塁打王、ウラディミール・バレンティンに内野ゴロ併殺打を打たせるためにダルは、「強いゴロを打たせたかった。それまで横に曲げていた2シームを(握りは変えずに)力の入れ具合でタテに小さく落として、あまり芯を外れないように遊ゴロを打たせて併殺打を打たせた」という。155km/hの速球に、こんな変化球を混ぜられては、打者は手も足も出ない。

とはいえ、セリーグ打線のふがいなさである。ダルとの対戦では、失礼ながらみんな往時の大洋ホエールズ打線のように見える。やる気もなく、頭も使っていない感じだ。せめてダルに球数を投げさせないと。短く持ってカットして、喰らいついていかないと。次回は15日の阪神戦あるいは18日の広島戦だと思うが、易々と記録を継続させるようなら、リーグ全体の士気にもかかわると思う。