ヤンキースのバートロ・コロン投手が昨年、肩と肘に幹細胞を注入する手術を受けていたことが明らかになった(5月11日付ニューヨーク・タイムズ)。

 フロリダの整形外科医ジョセフ・R.プリタによると、昨年、コロンの母国であるドミニカ共和国で、コロンの脂肪と骨髄から採取した幹細胞を肘と肩に戻す手術を行ったという。

 コロンはパワーピッチャーの代表的右腕で、2005年にエンゼルスで21勝8敗(防御率3.48)という成績をあげ、アメリカンリーグ・サイヤング賞を受賞したが、その後は右肩の回旋筋や肘の靭帯などケガに苦しみ、4シーズンで3チームを渡り歩いた。2009年、3勝6敗(防御率4.19)でホワイトソックスから放出され、2010年はメジャーの舞台に立つことがなかった。

 プリタ医師によると、コロンはまた野球に戻りたいと希望していたが、投げると強い痛みがあるため、手術に踏み切ったという。手術後、コロンはドミニカのウィンターリーグで投げ始め、所属チームの監督がヤンキースで長年コーチを務めていた関係から、今年の1月にヤンキースとマイナー契約を結んだ。

 コロンは驚異的な復活を遂げ、以前の速球が戻り、149km/hを出すこともしばしばで、フィル・ヒューズがケガで登録を外れてからは、先発ローテーションの一角を担うことになった。

 筋肉増強剤の使用に厳しい目を向けているスポーツ界は、新しい治療法が明らかになるたびに、その許否の線引きに苦慮している。プリタ医師は靭帯の損傷などの治療に、濃縮した血小板とヒト成長ホルモンを使用することで知られており、フットボール選手やシカゴ・ホワイトソックス、テキサス・レンジャーズの選手も同医師の治療を受けている。今回はヒト成長ホルモンの使用は否定しているが、MLB報道官は「ヤンキースから治療内容の報告を受け、調査中」だとしている。