香港「Asia Times」9日、「米国がたくらむ中国への新アヘン戦争」とする記事を掲載した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。以下は同記事より。

 中国はなぜ、苦労して貯蓄してきたお金を1兆ドルもの米国債購入に使うなどという大きな間違いを犯したのだろう?米国債は買うのは簡単だが、手放すのは難しい。米政府が1971年から行っている軽率な財政・貨幣政策に目をつむったとしても、中国のすべての「卵」を1つの「かご」の中に入れるのは恐ろしい過ちだ。幸い、中国人はすでにさまざまな手段を通してあやまちを正しつつある。

 中国は恐らくすでに日本の悲しい過去から教訓を得ている。中国が米国債の買い手となる前、米国の最大の投資国は日本だった。1971年、日本の対米貿易黒字は過去最高を記録、当時の円相場は1ドル300円だった。これを受け、米政策決定者と貨幣の専門家たちは日本に多大な圧力をかけ、円の切り上げを求めた。しかも、その根拠は円の切り上げで米国の貿易赤字を解消できるなどという馬鹿げたものだった。そして、1981年には1ドル100円になったが、その価値が3倍に増大した日本円が、米国の貿易赤字を改善させられるはずもなく、逆にその局面は継続し、悪化は10倍にもなった。

 中国人はすでに、「ドル資産購入=貯蓄との別れ」という厳しい情勢を察知したはずである。米国が当初実行した為替政策は完全なる金の巻き上げである。為替政策という名目の裏で、貿易パートナーが少しずつ蓄えた利益を、すべて自分のポケットに収める手口なのだ。

 中国人はすでにこの落とし穴を見破っているはずだ。米国はすべての債券を中国に購入させ、その後、牙をむきだし爪を振るう勢いで人民元の切り上げを要求する。表面上は、これで貿易のアンバランスを改善できると揚言するが、それが有効な方法ではないことは明らかである。改善どころか、貿易のアンバランスさは深刻化するばかりである。

 米国は、貿易赤字をなくすことではなく、あらゆる手段を講じて債務をなくすことだけを考えている。人民元のレートが高ければ高いほど、中国に気付かれないうちにその貯蓄を吸収することができる。中国が米国の銀行における貯蓄を取り戻そうとする際、恐らく以前の日本と同じ結末が待っているだろう。米国側では、中国に対する口実もすでに準備されているのかもしれない。「信用格付けが高く、対外債務もゼロの中国は、ドル預金を清算すべきではない。これは、有毒債務を利用して外国の銀行システムを攻撃する行為だ」

 日本人の理性なき行為は、日本がやはり被占領国であるという事実で説明がつくが、中国は違う。中国は、米国為替操作者及び債務屋の言いなりにはならない。中国は勇敢にこの横暴に抵抗し、この債務毒薬に「NO」をつきつけるべきである。

 為替を、貿易バランスを保つための道具として使用する理論は、悪質で正しくないばかりか、人をあざむく行為でもある。これまで何の効果もなく、今後も永久に役に立たないに違いない。それは米国自身の利益だけを考えた方法である。中国に「新アヘン戦争」を起こし、ドル安をよそおって、対外債務を減らす。貿易パートナーの利益を犠牲にし、貿易アンバランスの責任を貿易黒字の国に負わせるのだ。為替レートを変動させるのではなく、為替レートの安定を維持すること、これこそが貿易問題を解決する正しい方法なのだ。(編集担当:米原裕子)



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