民主党政権が発足し、大きく変わると期待されている分野のひとつが、情報通信分野だ。これまで民主党が掲げてきた政策パッケージによると、日本版FCC(連邦通信員会)の創設や、法体系の見直し、電波オークションの導入検討など、これまでの政策からは大きく方向転換するものも多い。ところが、いざ政権交代してみると、担当大臣からは日本版FCC以外については後ろ向きとも取れる発言が相次いでいる。さらに、過去のテレビ出演では、民主党の公約に反するともとれる発言をしており、早くも情報通信政策は迷走気味だ。

既存の放送事業者の体力に不安があることを強調

   民主党が総選挙前に発表した政策集「インデックス(INDEX)2009」では、21の分野についての政策が掲げられており、そのうちのひとつが「郵政事業・情報通信・放送」。通信放送行政を総務省から切り離して「通信・放送委員会」(日本版FCC)を設立することや、NHK改革などが骨子だ。また、「通信・放送行政の改革」という項目では、「現代の通信・放送の融合時代に対応した法制のあり方を検討する」としているほか、「電波の有効活用」という項目では、「(1)電波利用料に電波の経済的価値を反映させることによる電波の効率利用促進(2)適当と認められる範囲内でオークション制度を導入することも含めた周波数割当制度の抜本的見直し」とあり、電波利用料を市場価格に近づけ、事実上の値上げをすることや、電波オークションを前向きに検討したい考えが示されている。

   ところが、政権が交代してみると、これに逆行するかのような発言が次々に明らかになっているのだ。発言の主は、原口一博総務相。原口氏は、民主党が野党だった時から、党内の「NC(ネクストキャビネット、次の内閣)総務相」という役職についており、そのまま「本物の総務相」に横滑りした形だ。

   原口氏は、09年9月17日の初登庁後の会見で、これまでの政策を覆すととれるような発言を次々に繰り出した。

   例えば、竹中平蔵総務相(当時)の私的懇談会がNTTグループの完全資本分離案をまとめ、10年から具体的な議論を始めることになっていたのだが、

「自公政権で決めた2周遅れの改革論議」

と、事業者間の競争を促進するために始まった改革論議を、いわば「仕切り直し」する方向性を示す一方、電波オークションについても、地上波の完全デジタル化を控え、既存の放送事業者の体力に不安があることを理由に、「前のめりでやる環境にあるのかな、という思いがある」と、消極的な姿勢を示した。

「それ(電波料)を思いっきり下げますから」

   一方、日本版FCCについては、「国民と約束したこと」、実現に前向きな姿勢を改めて強調した。

   また、前出の「電波利用料」の価格についても、原口氏は政権交代前の段階で、民主党の政策とは相容れないと取れる発言をしている。09年4月、よみうりテレビの「たかじんのそこまで言って委員会」に出演した際、

民主党政権になれば、テレビは明るくなりますよね?」

という問いに対し、

「明るくなりますよー。だって今、電波料いくら取られてます?一生懸命稼いでるものが、天下りとかいろいろなものに使われているじゃないですか。それを思いっきり下げますから。それから、規制が多すぎるでしょ。『あれやるな、これやるな』って」

と発言。電波利用料と天下りとの関係は明確でないものの、電波利用料の値下げや、テレビ局にとって有利な規制緩和に意欲的なことは間違いない。電波利用料をめぐっては、「テレビ局があげている収益に比べて安すぎる」との批判が根強く、一連の電波行政に関する発言は「既存テレビ局の応援団に等しい」といった批判を呼びかねない。

   ちなみに、原口氏は、ワイドショーや討論番組などに多数出演して持論を展開する「論客」としても知られている。

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