このところ1試合2ホーマーを何度も記録するなど、目を見張るバッティングを見せている松井秀喜。しかし、いかに好調でも来季はピンストライプのユニフォーム姿は見られなくなるだろうと8月25日付でニューヨークタイムズが報じた。

 試合後は両ひざをアイスパックで冷やすのが日課になっており、一塁へ走る姿は、またひざを痛めるのではないかと、不安が拭えない。しかし、打席では力強いバッティングで、活力に満ちているように見える。

 ヤンキースでの最終年の今季、松井は彼を手放したら後悔するぞとでもいわんばかりに打撃を爆発させている。2003年に日本からアメリカへ渡り、スター選手ぞろいの球団にとけ込み、安定した成績を残してきた。

 球団は松井の高いプロ意識と、ひざの手術から復帰して以前と同じように結果を出していることを評価している。しかし、DHとして23本塁打68打点を挙げていても、来季は契約をしないだろう。

 ヤンキースにはアレックス・ロドリゲス、ホルヘ・ポサダ、マーク・テシェイラなど、連日守備につかせることができない高年俸のベテランが多い。彼らのためにDHのスポットを空けておきたいのだ。

 ブライアン・キャッシュマンGMは、松井をどうするかはまだ決まっていないという。「彼がプロであることはいうまでもない。打てることも、だれもが認めるところだ。今後のことはだれにもわからない」

 日曜日の試合後、来季について聞かれた松井は「今は今季が終わったあとのことは何も考えていない」と、当たり障りのない答弁をした。

 ヤンキースに残りたい気持ちはあるかと畳み掛けると「ニューヨークは好きだし、ヤンキースも好きだ。ニューヨークのファンも好きだ。居心地のいい街だ」と答えた。

 ヤンキースが彼と契約しない場合、松井はDHを必要としているアメリカン・リーグのチームへ行くことになるだろう。年俸は1300万ドル(約13億円)より下がることは確かだ。鈴木イチローと同じ球団でプレーする可能性は低いので、シアトル・マリナーズへの移籍はおそらくないだろう。