ニューヨークで行われたオリオールズ戦で、DHで出場したヤンキースの松井秀喜が1対1で迎えた9回裏に、オリオールズのリリーフ、ジム・ジョンソンから右越えのサヨナラHRを放った(7月20日付公式HP)。

 ベースを一周した松井は、ヘルメットを空高く放り上げ、ホームプレート上で待ち受けるチームメートの輪の中に飛び込んだ。

「いつものようにホームプレートを踏むつもりだったんだけど、ヘルメットを放り投げろといわれていたので」と松井は通訳を介して述べた。「初めてだったので、ちょっと気恥ずかしかった。でも、チームの決まりには従わないとね」

 普段は感情を表に出さないDHのパフォーマンスにチームメートは大喜び。さらにこの日はボストン・レッドソックスがテキサス・レンジャーズに6対3で敗れ、ヤンキースがアメリカン・リーグ東地区の首位タイに浮上。喜びが倍増した。

 7⅓回を投げて1失点だった先発のアンディ・ペティート投手は「(ア・リーグ東地区は)厳しいディビジョンだけど、ぼくたちはなんとしても勝たなければならない。レイズもボストンも強いので、2試合でも負ければ、ずるずると後退してしまう可能性がある。弱みを見せたら、やられてしまう」と、自身は勝敗がつかなかったが、結果には満足している様子で語った。

 松井は不安なヒザと戦いながら、DHというポジションを上手にこなしている。ジョー・ジラルディ監督は「松井は重要な選手。健康だけが気がかりだが、このところずっと調子がよい。大きな意味を持つ1本を打ち続けている。DHがどう打つべきかを、彼はよく知っている」と評価した。

 ホームランのあと、A.J.バーネット投手に祝福のクリームパイを顔に押し付けられた松井は「すっかり忘れていた。ほかの選手がやられるのを何度も見ていたのに、油断していたところを狙われてしまった」とまんざらでもない様子だった。