【セルジオ越後コラム】「日本のパスサッカーは20分限定」
 昨日のカタール戦が、今の日本の本当の実力だ。ウズベキスタン戦と同じような試合展開で、負けてもしょうがない内容だった。チリやベルギーとの“イベント試合”に勝って盛り上がったことで“錯覚”を起こしていただけで、このウズベキスタン戦、カタール戦の日本代表が本当の姿であり、そういう意味でいえば全く進歩していない。
 
 ホームでのW杯最終予選は1勝3分けで終了した。得点はフリーキックによる1点と、昨日のオウンゴールだけ。今日本がやろうとしている“はたいて動く”パスサッカーは、実は20分間しか継続できない、90分間持続できないことが、予選を通して証明された。だから、一番動きの少ないセンターバックが目立つようなことになり、闘莉王が上がってこられるんだ。
 
 そういうサッカーであればこそ、交代の仕方がかなり重要になってくるが、残念ながら3人の枠の使い方もまったくなってない。6人の交代枠があるイベント試合に慣れすぎちゃったのかな。
 サッカーは90分間で勝敗を競うスポーツなのだから、動きの悪くなった選手ははずせばいいし、そのとき調子のいい選手を出せばいいのに、みんなでW杯に行こうねという仲良しグループ的な空気が、昨日のような結果をもたらした。駅伝とフルマラソンの違いを理解していないのと同じだよ。
  
 たとえば今、W杯メンバーの選考会をしたら、現チームの中で何人残れるか疑問だね。それが今の岡田ジャパンの実態だよ。
 選手は試合に出たいから、監督の言うことを聞いているふりをして、内容が悪かろうが結果さえ出しておけばいい……今のチームからはそんな雰囲気すら感じるね。チームとしてあまりにもいい加減だ。なんであの時間帯に、闘莉王が上がったままでいていいのか。それがチームのいい加減さを象徴している。今の岡田ジャパンのサッカーのあり方も含め、もう一回考え直したほうがいいんじゃないかな。(了)


セルジオ越後 (サッカー解説者)
18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動
テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演・「やべっちF.C.」・ 「Get Spors」 
日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中
日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中
週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中
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