GWが終わると、お役所では会計検査のシーズンとなる。全てのお役所に検査が入るわけではないので、数年に1回程度「当たり」となる。当たった役所(予算ごとだが)は罰ゲームよろしく対応に追われることになる。



会計検査を行う会計検査院が発表した「お役所の無駄遣い」の額をご存じだろうか。1998年には143億円だったものが、2007年には1253億円と、約10倍にまで膨らんでいる。

大変な金額だと思うかもしれない。しかし、これは数字のマジックである。2009年の一般会計予算が約80兆円(=800,000億円)であるから、1253億円といえば0.1%程度である。

年収700万円の一般家庭が、7000円ほど無駄遣いしたというのと同じである。数字としては全然たいしたことはない。子供の小遣い程度だ。

もちろん、無駄遣いとして挙げられた中には、不正経理に該当するものも多く含まれているから、これは断固として是正排斥しなければならないが、お役所の無駄遣いは本当にこれだけなのだろうか。

実は会計検査院というお役所は、各省庁の決算にお墨付きを与えるのが仕事であって、無駄遣いを指摘するのは多分に形式的なものである。

会計検査の席上では、事業の必要性や緊急性について、検査を行う調査官が根掘り葉掘り質問するが、きちんと筋の通った説明をすれば、それで会計検査院は納得する。

事業の必要性や緊急性を真に査定しているのは、財務省であって会計検査院ではない。では、誰が無駄遣いを指摘するのかといえば、実は誰もいないのだ。

市民団体の告発や政治家の国政調査で挙げられる無駄遣いは、やはり些末なものにとどまり、指摘されたお役所では、「では是正しましょう」と言って、数百万円程度の節約を行った上で、「経費削減を大きく進めました!」と堂々と発表する。

中途半端な無駄遣い告発はお役所のエクスキューズのネタを与えるだけで、無駄遣い防止には貢献しない。

納税者が何らかの形で予算査定を監視できる仕組みを作ることが必要なのだが、現状では難しいので、当面できることとしては、国政調査権を全面活用するのが好きな「質問魔」の議員を国会に送り込むのが、ささやかな抵抗というべきだろう。

(編集部 石桁寛二)

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