液晶パネルの調達先を増やして競争力強化を目指す

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   ソニーシャープ液晶テレビ用のパネルを共同生産することで合意した。ソニーはこれまで韓国・サムスン電子と液晶パネルを共同生産してきたが、シャープとも組むことで自前にはこだわらない姿勢を鮮明にし、投資負担を軽減して、競争力の強化を目指す。

シャープ、松下は「パネル供給メーカー」を選択

   「数量の拡大と価格競争力の強化でもう一つの供給源を検討してきた。最も先進的なメーカーであるシャープを戦略的なパートナーとして選んだ」。共同生産の合意発表の会見でソニーの中鉢良治社長はこう強調した。

   シャープは堺市で世界最大級の液晶パネル工場を建設中(2009年度稼動予定)。両社の合意では、この工場の運営会社として、合弁会社を09年4月に設立する。合弁会社の資本金と投資額はシャープが66%、ソニーが34%を負担する。シャープは工場への投資額を3800億円としており、ソニーの負担額は1000億円を超える見通し。両社は出資比率に応じて、パネルを調達する。

   07年の液晶テレビの世界シェアは、(1)サムスン(2)ソニー(3)シャープの順番。プラズマテレビに強い松下電器産業と合わせて、「ソニー・シャープ・松下」が薄型テレビの国内3強だが、ソニーとシャープ、松下とのパネルの位置付けの違いがよりはっきりしてきた。

   松下は液晶パネルでは日立製作所との共同生産を主導し、新しいパネル工場を姫路市に建設する(2010年1月稼働予定)。シャープの堺工場に次ぐ世界2位の規模で約3000億円の投資額は松下が全額負担する。プラズマパネルでも総投資額2800億円をかけた新工場(尼崎市)が09年に操業を開始する。

   シャープ、松下が「パネル供給メーカー」としての存在感を高めるのに対し、ソニーはサムスン、シャープとの共同生産の道を選んだ。液晶パネルはテレビ製造コストの半分を占めるとされ、薄型テレビの価格下落が進む中、メーカーの大きな負担になっている。松下とシャープが生産規模拡大で効率化を目指すのに対し、ソニーは共同生産で自前生産より負担を減らし、価格競争に対処する。

世界一テレビメーカーを目指す上で大きなステップ

   ソニーは平面ブラウン管テレビ「ベガ」の成功にとらわれ、薄型テレビで出遅れた。業績不振の要因となったが、液晶テレビはパネル以外の技術開発に注力して、画像や音声の質を向上させ、販売を伸ばしてきた。不振脱却のため、「非中核事業」と位置付けた金融子会社、ソニーフィナンシャルホールディングス07年10月に上場し、約3000億円を調達。シャープとの共同生産に必要な資金も確保していた。

   中鉢社長は「今回の合意は名実ともに世界一のテレビメーカーを目指す上で大きなステップ。世界市場は2008年度に1億台まで成長する。ソニーは15〜20%のマーケットシェアを目指したい」と「完全復活」に向けて意気込んでいる。

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