猛抗議する仲間を横目に、呆然と立ち尽くす杉岡。もしあの浦和のカウンターから3点目が入っていたら……。写真:滝川敏之

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 驚きのミスジャッジは、遠く海を越えて欧州でも反響を呼んでいる。
 
 金曜日に行なわれたJ1リーグ第12節、浦和レッズ湘南ベルマーレ戦だ。ホームチームの2−0リードで迎えた30分過ぎ、湘南DF杉岡大暉がペナルティアーク付近から渾身のショットを放つ。相手GK西川周作が触れず、ボールは右ポストに当たってゴールラインを割った。だが、これがノーゴールと判定されてしまうのだ。ゴール内に置いてあったペットボトルで跳ね返り、ふたたびライン外に出たところで西川がボールを抑えたため、審判団にはラインを越えていなかったように見えたか。
 
 当然、湘南サイドは猛抗議を展開したが判定は覆らず。それでもその後湘南は後半に猛攻を仕掛けて2点を蹴り込むと、後半アディショナルタイムにミラクルな逆転劇を完遂させるのだから感動モノだ。令和最初の“大誤審”に屈せず、驚異的な粘りで3ポイントをもぎ取った湘南イレブンを、ファンもメディアも絶賛した夜だった。

 
 そして、海外メディアもこのハプニングを取り上げた。オランダのテレビ局『VTBL』電子版で、「日本で奇妙なシーンが生まれた。レフェリーはゴール判定でミスしたうえ、プレーオンを促したのだ」と銘打ち、杉岡が決めた幻のゴールを動画付きで紹介。以下のように報じている。
 
「日本で行なわれた浦和対湘南戦での出来事だ。レフェリーによって、なんとも異様なミステイクが引き起こされた。湘南の選手が放ったショットはポストの内側に当たって、のちに逆側にも当たって外に出たが、なんにせよレフェリーは入っていないと決めつけたのだ。しかもプレー続行をジェスチャーで示し、浦和がそこからのカウンターであわやゴール、という場面まで引き出したのである」
 
 今後も国内外でさらなる波紋を呼びそうで、まさにJリーグの沽券にかかわる大誤審となってしまった。
 
 世界的にスタンダードとなっているゴールラインテクノロジーと、今後のルヴァンカップで試験的に導入されるVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)に対する議論も、より活発になりそうだ。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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